俊足長打の遊撃手

俊足長打の遊撃手

2015-11-15

大平 山人(おおひら やまと 宮古と内地を行き来する野球好きの料理自慢)

糸満高校甲子園初出場時の遊撃手で、高校卒業後は1年間西濃運輸に在籍し、その後九州国際大学へ進学。するといきなり1年生春からレギュラーをガッチリ確保し、なおかつ、4本塁打で本塁打王も取得した逸材、それが宮城知秀です。

高校時代の印象から、筆者は、宮城は駿足の中距離打者だと思っていたのですが、本塁打王獲得の吉報を受け取った時に、大変驚きました。

更に驚いたのが、4本塁打のそれぞれ2本ずつを左右の打席でカッ飛ばしたと言う点です。

一般的に、両打ち打者は、それぞれ長打と高打率の得意な打席があるのですが、両方で長打を打てると言うのは、正に鬼に金棒です。

現沖縄電力の金城長靖が、甲子園で左右の打席で本塁打を放ったことと重複しました。

元々、打率は高い選手でした。その一因として、駿足が挙げられます。弱い内野ゴロも安打にしてしまう。単打で出塁しても、アッと言う問に得点圏へ進んでしまうと、相手にとって、これほど厄介な打者もいないと思います。

しかし、ちょっと見ぬ間に、その長打力に更に磨きがかかっていました。打撃フォームは、高校時代から、それ程大きくは変わっていないと思います。

長距離打者にありかちな大振りは全く無く、非常にコンパクトに振るものの、それでいて振り切る。文章にするのは簡単ですが、実際にこのような打撃ができる人間となると、希有の存在と言えます。筆者は、それを実現しているのは、宮城の柔らかく、かつ、非常に力強い手首に秘密があると思います。

一般的に、長距離打者は、腰を使って球を遠くまで運びますが、宮城の場合は、その働きの1部を手首が代替えしていると思います。

柔らかい手首によって、球を長くバットに乗せ振り切ることによって、打球の速度が向上し、長打、本塁打につながると言う訳です。

手首の強さは、守備でもかいま見ることができ、無理な体制で、下半身、いや、上半身すらまともに使えない状態であっても、ビュ~ンと、矢のような送球を1塁に送る。見ていると、手首しか使っていないような送球ですが、これがとっても速く正確なのです。

この手首が宮城の1番の宝物かと思います。無論、本人の日々の努力による所であることは充分理解しているのですが、糸満と言う場所柄、海人であった祖先が、漁の際に投網し、その優れた遺伝子を受け継いだのかと、楽しい妄想が膨らみます。

周りからは、もっと闘争心を表にだすべきとの声も聞かれますが、飄々とした雰囲気も宮城の魅力の1つだと筆者は思います。内に秘めたる闘争心は、うちな~んちゅならではであると思います。

今後更に実績を積み、2年後のドラフトで是非指名されて欲しいと思います。阪急や阪神で活躍した石嶺に続く、沖縄の大砲になって欲しい。

チバリヨ~、知秀!

 

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