大城滉二インタビュー
大城滉二インタビュー
2015-07-15
野球部の合宿所は、埼玉県新座市にあります。筆者が現役時代は、何度も立教大学とは死闘を繰り広げた(大袈裟)のですが、その頃は池袋の近くでした。
30年の時を経て、久々に向かった立教大学の建物は、とっても上等!更に、室内練習場もでき、野球も学問も、最高の環境で行えます。羨ましい。思わずとぅるばってしまい、涎が出そうになった所で、大城さんが登場しました。
寂しさ等は縁遠い
大平 「本日は、ご多忙の中ありがとうございます。」
大城 「いえいえ。」
大平 「しっかし、大城さん格好良いですね!今まで、ネット越しだったり、テレビの映像では何度も拝見していましたが、こうやって近くで観ると、とっても格好良い!」
大城 「ふふふ、褒めたって、何も出ませんよ。」
大平 「いや、私も男性には興味無いので、安心してください。では、早速ですが、現在、立教大学硬式野球部には、うちな~んちゅは大城さん1名だけですよね。」
大城 「そうですね。ご存知のように、去年までは我如古さん(現東京ガス)もいましたが、現在は自分だけです。」
大平 「我如古さんとは、延べ5年の付き合いですよね。野球も、それ以外も、色々と相談に乗ってもらったと思いますし、うちな~んちゅならではの、うちな~口を使った会話もできたと思いますが、1名になって寂しかったりしませんか。」
大城 「いやいや、それは無いですよ。副主将を任されて、寂しさを感じる余裕が無いと言うのもありますし、確かに、野球部にうちな~んちゅは自分しかいませんけど、大学には、同じ興南出身のハンドボール部やバスケットボール部の連中もいますから。」
大平 「お~!興南は、ハンドボールも強いですからね。」
大城 「それに、野球部は皆仲間ですから、寂しさ何て、感じませんよ。」
大平 「それは良かったです。興南の時の印象が強いので、周りは先輩達が固めてくれてって思っていたのですが、バッチリ自立しているって訳ですね。」
守備の人から、打撃の職人へ
大平 「高校時代は、大城さんは『守備の達人』と言う印象でした。」
大城 「へ~。そうなんですか。あの頃は、無我夢中でしたが、練習時間は、最初の頃は、守備に多く割いていたかも知れません。でも、1年の終わり位からは、打撃にも時間を多く割くようになったんですよ。」
大平 「だって、3遊間にゴロが飛んで、3塁手も取れないのに、大城さんがパッと追いついて、それをズバッと1塁で刺すと言うのは、も~何度も観ていましたから。」
大城 「最初に、守備の基礎をみっちりとやったのが良かったのかも知れませんね。」
大平 「打撃も、外野を越える当たりを打ったりと、記録を観てみると、とっても上等な成績何ですよね。でも、我如古さんや眞榮平さん(現JR東日本)等の、強烈な打者が揃っていたので、それ程印象に残らなかったのかも知れませんね。」
大城 「あの時のメンバーは、皆打っていましたからね。」
大平 「それから、失礼を承知で言うと、あの甲子園の時の打順である9番と言うのも、実は絶妙だったのでは無いかと思います。」
大城 「と、言うと?」
大平 「1番から8番までは先輩が担ってくれて、気楽にとまでは行かないものの、クリーンナップ等で、何が何でも走者を返すと言うような重圧からは開放された場所だったのでは無いか、と。」
大城 「それは正直ありましたね。好き勝手打つと言う訳ではありませんでしたが、上位につなげば、(国吉)大陸さんや慶田城さんが何とかしてくれる、と。ですから、当時は、とにかくつなぐ、つなげばOKと言う思いが強かったです。」
大平 「ですが、高校3年になり、大学に入ったら、そうも言っていられなくなった、と。」
大城 「そうですね。高校3年の時は、自分が累上の走者を返さないといけない立場でした。で、大学に入った直後は、つなぐことを主目的に置いた打順になったのですが.....。」
大平 「そこで、結果を出したので、今度は走者を返すことを要求され、その立場になった、と。」
大城 「そう言うことですね。認められて、結果も出したからそうなったのですけど、責任は重大ですよね。それまでやって来たことと、異なることをしないといけないのかなと悩みながら打席に立ったこともありました。」
大平 「へ~。でも、そんなことは、観ている我々には、全く感じさせなかったですけどね。打率は、常に3割を越えていましたし。」
大城 「走者を返す立場になっても、結局は安打を放って塁に出ると言う点では、全く同じだと、早めに気付いたのが良かったのかも知れません。」
大平 「なるほど。」
大城 「クリーンナップだと、いわゆる『長打』を周りは期待すると思います。そこで思ったのが、2塁打以上だったら長打だと言うことです。つまり、本塁打や外野を越える当たりを打とうと、外野の間をゴロで抜けようと、同じである、と。自分は、本塁打をガンガン打ったり、外野の頭を越える打球を打ちまくるタイプで無いことは理解しているので、外野の間を抜くと言うことを常に考えて打席に立つようになりました。」
大平 「新しいクリーンナップの姿ですね。」
大城 「結局目指す所は、チームの勝利ですから、そのために、自分にできることは何か、最善のことは何かと考え、外野の間を抜く方式に至ったと言うことです。」
大平 「ですが、高校の時は、結構甲子園で外野の頭を越える当たりを連発していた印象があるのですけどね。ですから、大城さんって力があるな、長打力があるなって思っていたのですけどね。」
大城 「まぁ、打順と、気持ちの余裕の関係もあるかと思いますけどね。ただ、外野の間を抜くと言うことは、強い打球を打つことは必須ですから、常に力強くバットを振ろうとは、昔から思っていました。」
大平 「なるほど。強い打球を打とうとしていたからこそ、あの外野の頭を越える当たりも出た訳ですね。外野の頭を越えることが目的では無く、強い打球を打つその結果、打った球のコースや球種によっては、外野の頭を越えることもある、と。」
大城 「そうですね。」
4年生の春
大平 「と、ここまで聞いて来て、『あれ?』と思ったのが、この春のリーグ戦の結果ですよ。100安打と周りが騒いでいたこともあるかと思いますが、安打数が初めて1桁(9本)であったことと、2塁打3本と、本塁打2本と言う、それぞれ今までの最高を記録していますよね。これは、何かあるのでしょうか?」
大城 「確かに、この春は色々と聞いていましたけど、自分としては、大きな当たりを狙ってみようと、何と言うか、実験のような意味合いで打席に立ったと言うことは全く無いです。相手投手が自分を研究したから打率が落ちたのかも知れませんし、不調だったのかも知れませんし。」
大平 「なるほど。では、あの本塁打は、別に狙った訳では無い、と。」
大城 「そりゃそうですよ。自分としては、本塁打は単打の延長としか思っていませんから。狙う何て、とんでも無い。100安打を目前にして足踏みしていた時に、本塁打が出たので、余計印象に残ってしまったのかも知れませんけどね。」
大平 「と、言うことは、大城さんの打撃姿勢は、変わっていない、と。」
大城 「そうです。強い打球を打って、つなげると言う思いは、全くブレていません。」
大平 「なるほど。恐らく、沖縄の野球好きの中にも、私のように、大城さんが何か模索中なのかな~って思っていたり、不安がっている人もいると思いますが、本人の口から聞けましたので、これが確実な情報であり、安心できる内容ですね。」
クールに変身?
大平 「さて、実は個人的に、最近の大城さんで気になる点があります。」
大城 「ハテ?それは?」
大平 「大城さんって、高校の頃は、別にヘラヘラしていた訳では無いのですが、常に楽しそうに野球をしていたって印象が強いんですよ。例えば、安打性の当たりをアウトにした時等、非常ににこやかに『ワンナウト~!』ってやっていたのですが、最近は、やけにクールになったなと思います。」
大城 「え~?そ.....そうですかね?」
大平 「凄い守備をした後も、別に表情を変えなかったり、4安打した試合後のインタビューでも、結構そっけなかったり、と。」
大城 「ん~、緊張していたんじゃ無いですかね。自分としては、意識的に無表情を装ったりした思いは無いですよ。それに、インタビューの時に、余りとんでも無いことって言えないじゃ無いですか。」
大平 「確かに。」
大城 「沖縄のテレビ局ならば、うちな~口を使っても良いですけど、全国放送では、さすがに.....。球場の人達も意味不明になっちゃいますよ。」
大平 「まぁ、時代がそう言う時代ですからね。でも、インタビューの時に、サングラス外してから、もっとにこやかに何か言えば、もっとファンが増えると思いますよ。」
大城 「はっはっは。参考にしますね。」
大平 「宮古では、格好を着けていることを『くき~くきしている』と言うのですが、そんな~じゃ無くて安心しました。」
秋に向けて
大平 「さて、これからは秋のリーグ戦、そして未だ先ですが、その後の神宮大会へ向けての準備期間になりますが、その点についてはいかがでしょうか?」
大城 「自分としては、最後のリーグ戦ですから、集大成の意味でも、是非優勝したいと思っています。それは、他のナインも同じ思いと思います。」
大平 「最近は、早稲田と明治が、話題と結果を独占している感じがありますからね。是非その大きな2つの壁をブチ破って欲しいです。そして、神宮大会では、是非とも富士大学と対戦し、多和田投手(中部商業出身)との再戦を期待しています。」
大城 「多和田!高校3年の時、準決勝で負けましたからね。是非リベンジしたい相手です。」
大平 「その他にも、大城さんの1年後輩の高良投手がいる九州産業大学等、も~、観たい対戦はメジロ押しです。是非それが実現されることを期待しています。」
大城 「その前に、6大学のリーグ戦を制さなければなりませんからね。まずはそこですね。今の立教は、戦力的には問題無いと思いますから、夏に更に実力を向上させたいと思います。」
大平 「大城さんと、明治の上原投手との対戦も、楽しみです。」
怪我対策
大平 「大城さんって、怪我が少ない印象が強いのですが、何かありますか?見た目、結構細いですよね。まぁ、太ければ良いって訳では無いのですけど。怪我で苦しんでいる人は多いと思うので、秘訣でもあれば。」
大城 「ん~、まずは何よりも、基礎体力を充実させることですね。」
大平 「なるほど。それは、高校時代に培われたことですね。」
大城 「そうですね。でも、常日頃からも、基礎体力の維持、向上を考えて練習をしています。そして、何かあれば、大きくなる前に対処することですね。例えば、腰に違和感を感じたら、だましだまし練習や試合をするのでは無く、早めに医療機関に相談することです。」
大平 「あ!それ、とっても重要ですよね。」
大城 「特に、素人が勝手な判断で対処すると、かえって悪化させることが多々ありますから、まずは早めに専門家に相談するようにしています。」
大平 「小火の内に消火すると言う訳ですね。」
大城 「この時期ですと、気圧が下がることによって、古傷が痛んだりしますからね。なるべく早めに完治させることも考えています。」
大平 「休む時は休むと言う、メリハリも重要ですよね。」
大城 「ですね。立教大学は、ここ新座(埼玉県)と池袋(東京都)にキャンパスがあり、自分の場合は、試合で色々な所にも行くので、気持ちのリフレッシュが頻繁に行えるのも、怪我を少なくできる要因かなとも思っています。」
大平 「素晴らしい。普段の生活が、野球に直結していますね。今日は、お忙しい中、貴重な時間を割いてくださり、ありがとうございました。今までも、神宮に応援に行っていましたが、これからは更に気合を入れて応援しましょうね。是非、秋の神宮大会での夢の対戦を期待しています。」
大城 「頑張ります。」
今年のドラフト候補として、様々な報道機関から注目を浴び、専門的なインタビューを受けて来た大城選手。
時には、琴線に触れるような質問も受けたと思われますが、今回は、沖縄の野球好きな面々が知りたいであろう内容を直接聞くことにしました。
このため、大城選手にとっては、ゆる~いインタビューになったと思いますが、そんな中でも、真摯に回答や意見を賜ることができ、大城さんの誠実で優しい人柄を感じることができました。
今年度で大学を卒業する大城選手。その進路は不明ですが、きっとどこに行っても、野球は続けてくれるハズ。だから我々沖縄の野球大好きな面々は、必ず応援し続けます。
そして、行く先で活躍し、その結果が我々沖縄の野球大好きな面々を更に元気づけてくれることを信じています。
チバリヨ~、大城滉二!