一緒に過ごす大切な仲間

あげな中学野球部マネージャーのお仕事

2015-02-14

一緒に過ごす大切な仲間

すごい努力家だ。

あげな中学野球部でただ一人、マネージャーを務める比嘉新菜さんは、元々野球に興味を持っていたわけでは無かった。「三つ上の兄が甲子園を録画していて」。最初は、何がそんなに面白いのだろうと思っていたが、山城大智や安里健らの活躍でベスト8進出を果たした沖縄尚学高校の試合を観ているうちに引き込まれ、気が付けば2時間以上テレビの前で釘付けになっていた。

一年生になった春、募集を受けて野球部へ入部した新菜さん。何故かそれまで、あげな中学の野球部にはマネージャーという存在はなく、部員一人一人がその役目をこなしていた。誤解の無いように記しておくが、だからといって今の部員たちが、マネージャーの仕事の全てを新菜さんに任せているわけではない。ボール拾いや準備、片付けといった自分たちで出来ることをしてきたこれまでの良い習慣を、彼らはしっかりと継続している。彼女の仕事は主にアナウンスだ。「これから3年間やるのだからしっかり覚えるように」と先生から彼女に手渡されたものは、20ページは下らないアナウンスのいろは。6年生の夏の甲子園を観るそれまで、野球を知らなかった女の子にとってそれがどれだけ大変なことだったか。ところが、だ。「一週間ほどで覚えました」とサラリと語ったが真相はこうだった。「私、自分に与えられた課題はすぐに消化しないと気が済まないのです」(新菜)。資料を手渡され、覚えようと必死で読んでいくうちに、気が付けば家の時計の針は深夜を指していたこともあったという。「野球のルールって難しいじゃないですか」という彼女は、ネットから野球の用語やルール、スコアなど検索しては自分のモノにするべく猛勉強を開始。元来の性格は、そのまま努力という形に変わり、1年も経たないうちにどこに出しても恥ずかしくないマネージャーへと成長した。

「あげな中野球部は、私にとっても3年間、ともに歩む仲間たち。大切な存在かな」と、照れながらはにかんだ新菜さん。高校に行ってもマネージャーを続けると言った彼女の澄んだ瞳の中に、それまで雲の間に隠れていた綺麗な夕日が射し込んでいた。

あげな中学野球部  マネージャー 

 

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