与勝緑が丘中学校マネージャー

与勝緑が丘中学校マネージャー

2015-07-15

必笑?先輩たちへの想いを込めた必勝お守り

「中体連の前にお守りを作りました。」

福薗有栞さんが、一人で作ったというお守り。

選手ひとりひとりに手渡されたその背中の部分には、試合での必勝をかけた「必笑」という文字が刻まれていた。

「これまで頑張ってきた先輩たち。勝って笑って、県大会へ出場して欲しくて。」

6月5日、緑が丘中学校は高江洲中学校と対戦。山田投手が踏ん張れば、野手もそれに応えるように堅い守りを見せ、スコアボードにはゼロの数字が並んでいった。

宮森小学校でバレーをしていた有栞さんが、野球部の体験へと足を向けたきっかけは友達の誘いだった。だが、その友達はバスケ部へと入部。

有栞さんはただひとりのマネージャーとなった。

「彼女はバスケ部に行っちゃったけど、そこで凄く頑張ってる」ことを逆に励みとして、有栞さんも野球のルールやスコアのつけ方など必死で覚えていった。

今年の春に転勤となった前副顧問の仲先生は、高校時代に野球部のマネージャーを務めたこともあって、有栞さんにとって凄く身近で頼りになる存在だった。

「昨年の中体連前に、お守りを作ったらどう?と提案されて。」

生まれて初めて作ったお守りだったが、有栞さんは「あのときの私は、夏に懸ける3年生の思いを知らなかった。」と振り返る。

一年が過ぎた今回もお守りを作ろうと決心。

長いときは朝の4時半まで掛かったというそのひと針ひと針は、優しく接してくれた先輩たちへの想いが込められていた。

「実は私、途中で辞めようと思った。」そのグチを、先輩たちは優しくなだめる。

「そんなこと言うなよ。オレたちには、マネージャーのお前が必要なんだからさ。」

嬉しかった。

先輩たちと一緒に、県大会へ出場するという目標をかなえようと心に決めた。

お守りを受け取った3年生たちたちから「ありがとう!絶対勝つよ。」と言われた瞬間、それまでの疲れも吹き飛んだ。

熾烈を極めた高江洲中学校との試合は規定の7回を超え、9回の裏が終わっても0対0のまま、特別ルールへと入っていく。

「頑張っているのに、がんばって!なんて声に出来ない。」

祈るような気持ちで、必死で心の中で応援したが、1対2で敗れてしまった。

3年生たちの頬を伝う悔しい涙とともに、彼女からも大粒の雫がこぼれていた。

「選手たちを誰よりも一番近くで応援出来るのがマネージャーの魅力」と語る有栞さん。

最上級生となった同級生たちが3年生の分まで頑張って、勝って笑って県大会へ連れて行ってくれると信じて今日も、選手たちのサポートを務めていく。

 

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