手留照(てるてる)の甲子園への黄金の5ケ条 (第7回)
手留照(てるてる)の甲子園への黄金の5ケ条
2016-01-15
甲子園への黄金の5ケ条
- 1) 頭に思い描いた夢を文字や絵などの形にする
- 2) 夢がかなった時のかっこいい自分の姿を想像する
- 3) ファンをいっぱい増やす(挨拶の達人になる)
- 4) 履物をきちんとそろえる。(コロコロ大作戦)
- 5) 必ず声に出してありがとうを伝える(ありがとう大作戦)
野球を嫌いにさせてしまった
4人の息子全員が甲子園出場という夢を叶えることができたのだが、手留照氏は息子たちが幼い頃から野球というスポーツへと導いていった。
社会人野球まで経験した手留照氏は、当然ながら息子たちに野球をやってほしい、野球がうまくなってほしいと思った。
「団地に住んでいて、ちょうどいい壁があったので、息子たちが小学校に上がる前から壁あてをずっとさせていましたね。
壁に印をつけてコントロールの練習をさせたり、フライやショートバウンドの捕り方とか、壁が一番いい練習相手でしたね」。
そう話す手留照氏だが、長男の政輝ときは、壁あてを教えながら、打ち方とか投げ方とか細かくやらせたために、野球を嫌いにさせてしまった。
「口には出さなかったけど、もうかしましいとか、しょっちゅう難しいことばかり言いやがってと思ったんじゃないかな」。
壁あてを誘っても「ううん、やらない」と答える。そんな自分についてこない政輝をみて、逆に手留照氏は「こいつセンスないや」と勝手に思い込む始末。親子は一時期、野球から離れた。
そんなとき奥さんが手留照氏に向かってこう言った。「せっかく政輝はあんなに野球が大好きだったのに。なんであなたが社会人野球までやってきたことを同じようにさせようとするの」。
初めての子でいい選手に育てようという気持ちの強かった手留照氏は、小学生にもならない政輝に対して強制的に一生懸命教えすぎていた自分に気づかされた。
「幼い政輝に対して、肘をこんなして、腰をこうだ、左足をまっすぐ出せとか言って。そんなこと出来るがはずがないですよね。
小さい頃は、ある程度自分の意思で投げようと思っているんだったら投げ方なんて、どうでもいいと思いました」。
そう言いつつも、次男の哲平の頃までは、まだ打ち方や投げ方、捕るフォームなどを小学生に上がる前に専門的に教えていたという。哲平にはこんな思いでもある。
軟式ボールは体に当たったら痛いからと思いテニスボールを使って野球を覚えさせようと試みた結果、「テニスボールは小さいから、三歳とか四歳の子供が打とうと思っても空振りするんですね。
しょっちゅう空振りしたら、だんだん面白くなくなりますよね」。野球がうまくなるように教えるつもりが逆の効果を生んでしまった。
ゲーム感覚、遊び感覚で野球を好きにさせる
「長男、次男でいっぱい失敗して勉強したことで、三男、四男はいいようになった」と手留照氏。
三男の三太のときはビーチボールを使った遊びを考案した。
まだ2歳くらいの三太がやっと走れるくらいになったときに、ビーチボールを畳の上に転がしてプラチックのバットを持たして打たせてあげた。ビーチボールは大きいので、必ずバットで当てられる。
ボールがポーンって跳ねていくので子供は楽しい。「三太、打ったらお母さんのところがファーストだから走れよって言うと喜んでケタケタ笑いながら走るんですよ。
そうするとお母さんがすごいねと褒めてあげてハグする。またバッターボックスに走って戻って、また打つ、これをずっとと繰り返すんですよ」。
子供が大きくなっていったら少しずつこのビーチボールの大きさを小さくしていった。この遊びのときには右でも左でも打たせた。そして自然に片一方で打つようになるまではあえて両方で打たすことをした。
キャッチボールもおもちゃのグローブにマジックテープがついているものを使って、必ず捕れるようにしてあげて野球を好きにさせていった。
投げ方、例えば肘を上げることを教えるときも、言葉ではなく、足元にドラム缶のふたぐらいの円を描いて「この円にボールを叩き付けて上に高くあげる勝負しよう」と自然に肘が上がる遊びを利用した。
「長男、次男で勉強させてもらって、三男、四男のときは最初からずっとこういうことを考えながらやっていましたね。これさえ最初にやっておけば野球が楽しいってことになってきますからね」。
手留照氏が四人の球児を育てる中で「幼い子供に野球を教えるときには、口で言って教えるのではなく、ゲーム感覚や遊び感覚で覚える方法を考える。そうすれば、子供はどんなことでも楽しいと言ってやるし、動いてくれる。こんなことを勉強させてもらいました」。
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