興南高校野球部 PICK UP! TEAM

興南高校野球部

2015-03-14

最強のチャレンジャーとして挑む春

この日もいつもと同じく、選手たちは通称"興南アップ"と呼ばれるサーキットトレーニングから練習を開始。内外野の捕球を取り入れた動作を繰り返すこのアップ、通常でも1時間以上かけるのだが、この冬はそのひとつひとつの距離をさらに伸ばして体力を強化した結果、去った高校野球部対抗競技会でも、1位の糸満に僅か1点差の2位という好結果に繋がった。しかしそれだけでは、新人大会(4対6コザ)と秋季大会(2対3八商工)のいずれも延長戦にもつれ込みながら敗れ、喪失しつつあったナイン全体の自信の回復には至らなかったかも知れない。そこで我喜屋優監督自らナインに授けた秘策が、打席での体感速度(球速)に対する向上だ。

18.44mを制する

バッテリー間の距離は18.44m。それを6mほどに縮めて打者へ投げるため、その体感速度は150キロに達すると言われる。「最初は全く当たらなくて」と、佐久本一輝は苦笑いを浮かべたが、今では全員が打ち返してしまうほどだ。その積み重ねを見せるかのように、シート打撃で打席に入ったレギュラー組の打球は外野手の間を抜き、頭を越えていった。比嘉龍寿主将以下、ほぼ全員が「打のチーム」と言い切ったこともその証しだろう。一方投手陣の整備などの課題が解消されたわけではないが、新人と秋で敗れた2試合の得点力不足(23イニング6得点)の不安など、微塵も感じさせない強打の興南として新たに生まれ変わった姿をこの春、ファンの前で披露してくれると確信した。 2011年の夏は4強入りを果たすも、翌12年浦添商に敗れてから暗く、長い夏のトンネルを抜けだせず苦しむKONANのユニフォーム。「人がやることなのだから失敗はある。それが野球。いつ、いかなる時も、自分たちの野球が出来るかどうか」(我喜屋監督)。偉大な先輩たちが築いた甲子園春夏連覇の看板は下ろさず、敢えてそのプレッシャーに立ち向かっているナイン全てが、今の僕らは挑戦者なのだと言い聞かせている。なればこそ、最強のチャレンジャーとして駆け上がり再び日本一になろうじゃないか!新たな光を射し込む新生興南の道標は、オレたちが刻む!休む間もなくグランドを駆け回るナインから、そんな力強い春の息吹が聞こえた。

 比嘉龍寿城間楽人佐久本一輝喜納朝規
4選手インタビュー 比嘉龍寿 城間楽人 佐久本一輝 喜納朝規
チーム状態は?冬(オフ)は意識が低かったが徐々に上がってきた。右肩上がりです。調子は右肩上がりだと思います。チーム全体が上り調子です。春へ向け、全てがアップしています。
新人・秋と競り負けた原因は?チーム全体が精神的に甘く弱かったです。投手陣(特に自分)に責任があった。抑えていれば勝てていました。完全に力不足。1本が足りず決定打が打てなかったのが大きかったです。精神的に弱かった。練習で良くても本番で力を発揮出来ないもろさがありました。
現興南はどんなチーム?打撃のチームだと思います。春、勝つには打たないと勝てないと思う。(投手の)自分が言うのも何ですが、打撃のチームです。攻撃的なチームになりました。自信あります。打って良し、守って良しのチームです。
今年注目してほしい点は?冬の間にアップして自信を持っている打撃力に注目してほしい。1番・主将の自分が出塁すれば必ず勢いに乗れる。自分です。 マウンドでのストレートに注目してほしい。必ず、140キロを超える真っすぐで打者を抑える投手になります。自分です。 肩に自信があるので、スローイングが自分の見せ場だと思っています。自分の打撃力に注目してほしい。4番として1球1球フルスイングをする。仲間から頼られる4番になります。
核・中心となる選手は?喜納や佐久本、そして自分です。自分です。自分でなければいけないと思っている。ライバルは小濱(試合を作れるので)。主将の比嘉です。 捕手の佐久本ですかね。やっぱりチーム全体を見るポジションでもあるので。あとは自分です。
春の目標は?断トツの優勝優勝優勝優勝

(インタビュー:タイテツ)

TEAM DATA FILE

チーム名興南高校野球部
創部1962年
スタッフ 監督:我喜屋優、部長:真栄田聡
副部長:砂川太、安里利光、池間忠彦
主務:古城大地(兼学生コーチ)
部員数選手79名
練習日毎日
モットー魂知和、積小到大

監督取材

我喜屋 優 監督興南高校野球部

1950年6月23日生まれ。1968年、野球部主将としてチームを率い第50回全国高校野球選手権大会ベスト4。1974年には大昭和製紙北海道の都市対抗野球優勝に貢献し、その後もコーチや監督として多大な記しを残す。2007年、母校興南高校の監督へと就任するとその僅か4ヶ月後の夏優勝し、同校を24年振りとなる甲子園出場へと導く。2010年、島袋洋奨(ソフトバンク)らを擁し史上6校目となる甲子園春夏連覇を達成。同年、興南学園理事長へ就任。現在は同校の中学・高校の学校長も兼任している。64歳。

 

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