あやはしブルズ PICK UP! TEAM

あやはしブルズ

2016-06-15

負けている時こそ声を出そう

練習試合もしてもらえなかった弱小チーム

「うるま市は強いチームが多くて、練習にもならないと練習試合もしてもらえなかったですね」。

それは、生田監督が就任した5年前のこと。「試合をすると毎回30点コースだったですね。1回の表に相手のベンチに行ってタオルを置いてきて終ろうと言ったこともありました」。

本家は伊計というものの、自身の生まれ育ちは、別の場所。与那城の地と縁がなかった生田監督が、引き受けることになったのは、会社の同僚のチームの父母から、「監督がいないので面倒をみてもらえないか」と頼まれたのがきっかけ。

いざ引き受けたものの、部員こそ20名ほどいたが、指導者不在だったため、チームとしての体を成していなかった。

キャッチボールも満足にできない状況、ルールや野球の知識も乏しかった。そんな子供たちに対して生田監督自身の野球部経験も高校の半ばまで、指導方法に不安を抱えてのスタートだった。

幸い父兄に 高校野球経験者が何人かいて、助言をもらいながら、3年後には大会で勝てるようにチームにしようと目標に立てた。

そしてまず始めたのは、チームに欠けていた挨拶、礼儀、マナーをきちんとすること。誰よりも先に挨拶をすること、道具をきちんと並べること、ゴミを片付けること、ダラダラせずテキパキ動くこと、今もチームのルールとして徹底して指導している。

また、ボールを大切に使うこともチームに課した。子供たちは、ノートに毎日、その日のボールの数を記入して、足りないと全員でボール探しを行う。見つからないと、1個につきグランド2周を与える。そして、ボールは割れるまで使うことを基本にした。

野球を覚えてもらうためにと、雨の日には、野球の勉強会を行っている。そうして一つ一つ、積み重ねてきたことが、昨年からようやく実を結んだ。

負ける悔しさ知ることで心が成長

昨年、生田監督が就任して初の1勝をあげた。

そして、今年の春の地区大会では、二回戦で敗れたものの優勝したチームを相手に1対0と互角の戦いぶりをみせるチームとなった。

以前は、負けに慣れすぎて、負けても悔しいとも思わず笑顔のままだった子どもたちが、今は勝つことを経験し、負ける悔しさを知った。

負けると、その悔しさをノートに綴るようになるまで、子供たちの気持ちの持ちようが変わってきた。

練習試合も申し込まれるようになった。「練習試合をしてもらえないほどの、あれだけ弱かったチームがだんだんカタチになってきた。強くはないですけど、普通に練習試合が組める。だいぶ成長してきたと思います」と生田監督。

今年の目標は、県内各地からチームが参加する「うるま市長杯」でのベスト8入りと夏の大会で派遣を勝ち取ること。

努力の中に楽しみを見つけ出すことをテーマに、アウト取ったときの喜び、勝ったときの喜びを味わえるチームを目指している。

努力してもらうために、素振りノートを提出するのも日課だ。さらに成長が楽しみなのが現5年生。

3年生の時にうるま市の低学年の大会で準優勝しており、勝利への意欲を持っている。一方、次代を担う低学年は、野球の楽しさを分かってもらうことがメイン。

練習では、最初のキャッチボールや居残り練習はC球を使うものの、ほとんどの時間は、プーカーボールを使ったゲーム形式の「プーカー野球」。

遊び感覚で野球を覚えて、好きになってもらい、しいては努力の中で喜びを見つけ出す選手に育って欲しいとの思いだ。

見逃し三振はしない。エラーをしても声を出す。

あやはしブルズでは、試合の中でいくつかの決め事がある。まず一つは負けているときは声を出すこと。

そしてバッティングに関しては、「次のバッターにつなぐ意識」を持って打席に立つことだが、一番の決め事は見逃し三振をしないこと。

見逃し三振することほど無駄なことはないという生田監督の方針からだが、見逃し三振をすると、「三振」という漢字をノート3ページ分書くことになっている。

ときには、頑張りノートの学習を5ページ課せる。

「きわどいと思ったら必ず振る。バットを振れば何かが起こる」という考え。

子供たちには「ヒットやホームランを打とうと思ったらバット振らないといかんよな。だったらバット振ったほうがいいんじゃないか」と教えている。

「子供たちは、見逃し三振が嫌でとにかく振るようになりました(笑)」。

守備に関しては、お互い同士で、ボールが飛んで来たら、どこに送球するかなど、次のプレーを考える打ち合わせをすることが決め事。

それからもう一つが、エラーをしたら、エラーをした人から声を出すこと。エラーは誰にでもあることなのだが、その後の失点につながらないように、落ち込む前にあえて声を出させるようにしている。

ハーリー大会では連続優勝

あやはしブルズの隠れたエピソードともいえるのが、年に一回行われる「浜比嘉ハーリー大会」の子どもの部の毎年優勝していること。

地域の各小学校からいろいろな団体が参加して行われている競技で、優勝を重ねている。

「野球で優勝できたらいいんですけどね」と笑みをみせる生田監督だが、チームのモチベーションを高める大事なイベントの一つとなっている。

部員に女子が多いのもあやはしブルズの特徴。現在、女子部員は4人。エースも女子が務める。

小学生の県選抜女子チームの面倒もみる生田監督は、女子野球が発展することも願っている。

監督とぶつかるくらいに我が強いのが多いのも現チームの特徴の一つだといい、「その分、一度スイッチが入れば、結構勢いがあると思うんで、楽しみではあります」と話す生田監督。

個性豊かな子供たちで、派遣を目指す。

TEAM DATA FILE

代表金城道男
監督生田大地
コーチ金城由憲、高良大樹
創部10年前
部員数16名
チームのモットー負けている時こそ声を出す。積極的にいこう。
練習日火、水、木、金、土、日(低学年は週5回)
練習場所与那城多目的広場

監督取材

生田大地監督 昭和54年5月生まれ。

宜野湾小(宜野湾タイガース)。宮里中学校で野球部。成人後に、野球を再開し、軟式野球チームに所属。
5年前にチームの父母であった職場の同僚からの依頼を受け、監督に就任。「野球部員は、挨拶、礼儀、マナーをきちんとすることが基本」を信条に子供たちの指導にあたる。

 

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