主将としてチームを引っ張り、優勝を目指す
照屋 塁 (慶応義塾大学)
2017-01-15
慶応大学野球部の主将へ
新4年生の部員40名余りによる投票で新主将に決まった。照屋にとって小中高を通じても主将の経験はなく、初めての野球部主将。主将に内定したことを知ったときは「本当に自分が、慶応野球部のキャプテンをしてもいいのかなと、そういう気持ちがあった」という。
しかし、秋のリーグ戦が終わり新チームのスタート時に正式に部長から発表されて時には、「やるしかないな」と気持ちが切り替わった。東京六大学で県出身者が主将を務めるのは、比嘉寿光(早稲田大2003年・沖縄尚学)、我如古盛次(立教大2014年・興南)、安慶名舜(法政大2014年・興南)らに続く。
憧れだった東京六大学そして慶応野球部
照屋は、2014年に沖縄出身者としては二人目となる慶応大野球部員となった。照屋が東京六大学リーグの野球を初めて目にしたのは、小学校のとき。父親に東京6大学を観に連れてもらった。「そのときに大学のステージにこんなすごい場所があるんだと思ったのが最初。応援もしっかりしていて、神宮球場の雰囲気がすごくてびっくりした」。
ただその時は、東京六大学は遠い存在で、全然行ける場所とは思っていなかった。しかし、高校の頃に憧れの東京六大学でやりたいという気持ちが芽生えた。三年夏の決勝で敗れ甲子園出場を果たすことができず、進路を考えたときに やっぱり東京六大学でやりたいという気持ちになった。その中でもスポーツ推薦のない慶応が一番かっこいいと思い、浪人覚悟でそこを目指した。
そして一般入試を受験するが不合格となり、浪人。浪人中に、慶応野球部の知人から9月入学のAO入試でも入れる可能性があると教えてもらい、一般入試とAO入試の勉強を平行して行い、 AO入試に合格。憧れの慶応大へ入学を果たした。野球部への入部は一浪と同じ扱いで、翌年2月から練習に参加した。
一年生の春から一軍へ
慶応大野球部は部員数180名。一軍、二軍、三軍と分かれている。一軍は約30名。
照屋は50名近くの新入部員の中から、ただ一人だけ一軍へ抜擢。春のリーグ戦前の石垣島キャンプへ参加した。そして春のリーグ戦でもベンチ入りを果たす。主に走塁、守備要員として5試合に途中出場、神宮デビューも果たし、東大戦では大学初ヒットも放った。
いきなりリーグ優勝を経験
照屋が初めて東京六大学リーグの舞台に立った一年生の春のリーグ戦で、慶応大と早稲田大が優勝争いを展開。優勝争いは最終節の早慶戦にもつれ込み、2勝をあげ勝ち点を奪った慶応大が6季ぶり34回目の優勝を収めた。照屋が今でも一番印象に残っていると話す。
「優勝決定戦の早慶戦は本当にすごかった。どっちか勝ったところが優勝という状態があまりないので神宮球場も満員で、外野席も立ち見が出るほど。球場全体の雰囲気がすごかった。一番すごいときにベンチに入れたので、けっこう貴重な経験だったと思います。慶応に来て良かったなと心から思った瞬間でした」。
その早慶戦に照屋も代走と守備で出場し、満員のスタンドをバックにプレーした。優勝した慶応は東京六大学代表として大学日本選手権に出場。神奈川大に一回戦で敗れ、照屋に出場機会はなかったものの全国の舞台も経験した。
志しが高い部員が集まる慶応野球部
「慶応野球部は全国から志の高い人たちが集まってくるので、同じ同期にも、先輩やこ後輩にもけっこう尊敬できる人も多いので学べることはかなり多い」と話す照屋。
付属の慶應義塾高校からの進学組がレギュラーの中心を担うことも多いが、スポーツ推薦のない慶応野球部を目指して進学校から入学してくる部員が多い。そのため、他のチームに比べると高校野球の実績に関しては少し劣る部分があると思うというが、部員の技術のレベルや意識は非常に高いという。
慶応野球部に入り照屋の意識も変わった。「高校までは、強制的にやらされる環境の中で嫌でもやるという状態だった。慶応は練習以外の部分は特に自由な環境なので、その中で自分を律してちゃんとやらなければいけない大変さも感じた。そこは考えて行動するようになった」。
不調に終わった2016年
3年生の春のリーグ戦、秋のリーグ戦とレギュラーに定着した照屋だが、本人にとって不本意な一年に終わった。
特に秋のリーグ戦は、全試合に出場したものの一割に満たない打率に終わった。本人も「そもそも出塁が少なかった」といい、得意の足を活かす機会も少なかった。「去年一年は悔しい思いをした。全然結果が出せなかったので、いろいろとチームに迷惑をかけたのも多かった。一年を通して自分の中でいいというのが無かったので、今年はそれをやり返したい。
新チームが始まって、また新たに取り組んでやっているので、去年一年の経験もプラスにできたらいいと思う」
慶応野球部の歴史と重み
「慶応に入って3年目になってやっと慶応野球部には歴史と重みがあるんだと感じてきた」という照屋。一年生の時は慶応大野球部に入れた嬉しさと本当にこんな場所で野球できるんだという嬉しさだけ。特に何も考えずに、ただ凄いと思ってやっていた感じだった。
しかし、去年の一年間は、いろんな人に見られて期待されている中でやる怖さを知った年だという。東京六大学リーグ、それも慶應義塾。熱心なファンも多い。
ふがいない選手にはきつい言葉も飛ぶ。「熱心に応援してくれている人たちに、球場の外に出ても、応援してくれている分、けっこう言われたりもするので。いろいろ言われながらも、ずっと応援してくれている方も多いので、そういうところでやれているということは逆にすごいことだと。最初は、ただただ楽しかった。そしてだんだん重みが分かってきた。今年は、期待に応えていきたい」
リーグ戦優勝と早慶戦の勝利を目標に
主将として迎える春のリーグ戦まであと3ケ月。「基本はチームが勝つことが一番なので、チームがどうやって優勝するかというのが一番軸にあって、その中で自分の課題もしっかり克服していきたい」。照屋自身の打撃の復調もチームの勝利にはかかせない。
新チームは、絶対的エースだった加藤に変わるエース的な存在はいないが、 投手陣もけっこう力のある選手もいるといい、打線もプロ注目の岩見を中心に全体的なチームのレベルは上がっているという。「チーム力で戦うチームだと思うので、 チーム全員で戦い、まずはリーグ戦優勝とそして早慶戦に勝つ。早慶戦は勝たないといけない」と話す。やはり早慶戦は別物らしい。
全員が同じ方向を向いて強みを発揮するチームに
今年一年間主将としてチームをまとめることになる照屋。「学生スタッフも何人かいるので、スタッフとマネージャーと連携をとりながらチームをまとめていけたらと思う。
上から下まで、いろんなところを把握してやらないといけないと思うので、組織的にちゃんとしたチームをつくるようにしたい。まとめるのは大変と思うが、それなりに皆、志の高い人、目標を持った人ばかりなので、その全員が同じ方向を向けば、かなり強みになると思うので、そういうふうにしたい」と主将としての役割を語った。
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