侍ジャパンU-12代表に選出
金澤海斗 (かなざわ かいと) / 泊ファイトクラブ
2016-12-15
一般応募のデジタルチャレンジに合格。U-12代表選手選考合宿へ参加。
先月号でも記したが、10月中旬、侍ジャパンU-12代表選手選考合宿が行われ15人の日本代表選手が選出された。
この選考合宿に参加したのは53人。その参加者は、軟式野球連盟の各都道府県支部からの推薦選手、そして仁志敏久監督(元巨人)が「高松宮賜杯第36回全日本学童軟式野球大会(マクドナルド・トーナメント)」を直接視察して選んだ選手、それと「全日本合同トライアウト・デジタルチャレンジ」の一般応募者の中から選ばれた選手。
真喜良サンウェーブ野球部の内間は、沖縄県野球連盟からの推薦、世名城ジャイアンツの宇地原、福原は仁志監督の推薦でトライアウトに参加し日本代表に選出された。そして、一般応募のデジタルチャレンジから日本代表の座に選ばれたのが泊ファイトクラブの金澤海斗だ。
侍ジャパンU-12代表デジタルチャレンジ
前大会から始まった侍ジャパンU-12代表の一般応募。自らのプレーを動画で撮影し応募。ビデオ投稿の審査・選考を通過した応募者は代表選手選考合宿に参加できるというもの。金澤はこのデジタルチャレンジに応募し日本代表の座をつかみ取った。
父親で泊ファイトクラブのコーチも務める金澤圭一さんが、今年の7月の県大会の時期に、知人から「U-12侍ジャパンの選手をホームページで募集しているから受けてみたらどう?」という言葉がきっかけだった。
応募の条件は、(1)50m走:7.3秒以下、(2)球速105km/h以上、(3)遠投70m以上、(4)特筆すべき技能を持っていること(平均打率5割以上や飛距離が突出しているなど)。この項目の中で1つ以上クリアすれば応募できる。
金澤は、50m走が7.0秒、球速が最速119km、遠投が85mと3項目をクリアしていた。そこで、フィールディングとバッティング、自己PRの動画をダメで元々と思い応募してみた。その結果は合格、代表選手選考合宿に参加できることとなった。
応募直後にケガ。不安を抱え受けた代表選手選考合宿
デジタルチャレンジに応募した金澤だったが、応募直後に練習で右肩を痛めてしまい、7月下旬から9月末までリハビリ治療に通うことになってしまう。
全くボールを投げることができなくなった。そんな中で、デジタルチャレンジの合格、代表選手選考合宿へ参加通知が届いた。選考合宿は10月22日、23日。喜んだものの、その時は全く投球ができない状況。それまでに肩の回復が間に合うか不安を覚えた。
リハビリ治療を終え、キャッチボールを再開したのが10月の上旬。徐々にペースを上げ、代表選手選考合宿の日を迎えた。しかし、一度も全力で投球ができないままにトライアウトに挑むことになった。「自分の肩がどこまでやれるのか心配だった」
という金澤。だが、いざ始まってみると初日の球速測定では、球速も114kmまで球速も戻っていた。内野の全ポジションで受けるノックでは、1、2個のミスもあったもののしっかりとしたフィールディングをみせることができ、フリーバッティングも仁志監督の投じる球をうまくミートすることができた。
「内野手でなら守備と打力でアピールして十分やれると自信も持てた」という内容だった。合宿の一日目が終わると全国から集まった選手達ともすぐに打ち解けることができた。初日は、若干の緊張があったものの二日目のトライアウトは緊張もなく本当に楽しくやれたという。「それが良かったと思います」。当然、周りは上手な選手ばかりだったので選ばれるという確信は持てなかったものの、普段の力を出せたという感触でトライアウトを終えた。
投手としてジャパンに選出される
53人がトライし、日本代表の枠は15人。U-12代表選手選考合宿の結果、内野手として受験した金澤は、なんと投手枠で日本代表に選ばれた。エントリーの際の、ポジションの第一希望に内野手で、投手は第二希望。所属する泊ファイトクラブでは、ショートのポジションを守り、投手としては試合終盤の短いイニングを投げている。
トライアウトでは、野手でも投手経験者はピッチングを行い、それを見てもらった。そこで金澤は評価を得たものと思われる。「合格の通知が届いたときは本当に嬉しかったのでですが、投手として評価してもらえるとは思ってもいなかったのでとても驚きました」と本人も話す。
強肩、俊足、長打力を秘めるアベレージヒッター
投手登録で選出された金澤だが、野手として試合に出たい希望も強い。「15人に選ばれたことで満足せず、チーム内競争に勝ってレギュラーとして全試合に出てホームラン2本は打ちたいです」と抱負を語る。
泊ファイトクラブの久場川薫監督は「6年生としては、身体能力も含め、走攻守ともにずば抜けている。バッティングは打率が高く、さらに長打力と脚力も兼ね備えている。守備では、どのポジションの守れるオールラウンドプレーヤー・県内ではトップクラスと思っていたが、まさかジャパンにジャパンに選出されるとは思いもしなかった。投手で選ばれているが、毎試合出場して打つ方での活躍を期待したい」と野手としての金澤の活躍に期待を寄せる。
二人の兄の後を追い野球を始める
金澤は、野球をしている5歳上と2歳上の兄がおり、また父親がチームのコーチを務めていることもあって、兄や父親の後を追って、幼稚園生の頃からグランドに通うようになった。3年生になると高学年の試合に出場するようになり、4年生で内野手のレギュラーを掴んだ。現在守るショートの守備では、安定した守備力をみせる。
球際に強く、三遊間の深い当たりも強肩を活かして一塁で刺す。金澤自身も「ショートはボールが飛んでくるので楽しい」と話す。打者としては中距離ヒッターで、打率を残しながら長打も打てるタイプ。ツボに入ればホームランを放つ。チーム内でも一番多くホームランを打っている。そして投手としては、最近はコントロールも安定してきたといい「打たせて取るピッチングを心がけているが、相手がクリーンアップだと三振を狙いにいく」。ここぞという場面ではMAX119kmの速球で打者に立ち向かう。
周りに感謝し、アジアの大舞台に挑む
今回の選考会で使用したボールはKボールという軟式球。「いつもの試合球(C球)とは全く違い硬くて跳ねない特殊なボールだったので、守備でのバウンドの合わせ方や、投球時の指の感覚がいつもと違い難しかった」という。代表決定後は、アジア選手権に向けて、Kボールを
取り寄せて練習を行い、今では少しずつだが感覚を掴めてきたと話す。金澤の投・攻・守での活躍を期待したい。
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