野茂ジュニア・オールジャパンに選出 コントロールとキレで米チーム相手に好投

伊波洋一

2016-10-15

元大リーグ投手、野茂英雄さん率いるジュニア・オールジャパン(通称NOMOジャパ)の選手16人に沖縄から唯一選ばれたのが大矢ベースボールクラブの伊波洋一。 8月20日から、1週間の日程でアメリカに遠征。ロサンゼルス、サンディエゴで地元チームと対戦、2試合に登板し5イニング1失点と好投した。

ヤングリーグの代表としてNOMOジャパンに選出

日本で味わえない素晴らしい経験をして、よりレベルの高い選手になってほしいと、元大リーグ投手、野茂英雄さんが総監督となり始めた"BOYS LEAGUE JAPAN"TOUR 。

8回目となる今年は、全国のボーイズリーグから13人、ヤングリーグから3人がメンバーとして選ばれ、米国遠征した。大矢ベースボールは、春に行われたヤングリーグ全国大会で準優勝。その大会の上位3チームの中から投手1名が推薦されることになり、大会での好投が評価された伊波洋一選手が野茂ジャパンの一員となった。

春の全国大会で伊波は一、二回戦に先発しそれぞれ5イニングを投げた。その後は、大会規定の投球イニング規制のため登板はなかったものの、130km前半の速球と変化球をコーナーに決め打者を打ち取る投球術は高評価を得た。

代表入りを伝えられたのは6月の中旬。チームの多和田忍監督から伝えらえた本人は驚き、自分がジャパンのユニホームを背負えることが信じられなかったが、とても嬉しかった。

メンバーのレベルの高さを実感

8月5日に結団式が行われ、全体練習に参加。初めてメンバーがどういうレベルか分かった。

「打撃では、打球の速さが全然違う。投手陣で自分を比べると、球のキレ、球速も全然下だった」。

この中で自分はできるのだろうかと不安も感じたが、すぐに気持ちを切り替えた。「自分の持っている力を全力で出す。自分の力を最大限に出してアメリカで野球をやろう。NOMOジャパンで結果を出して親やチームに恩返ししよう」。

そう思うと「今のままでは全然通用しない。8月20日の出発までに何ができるのか」をすぐに考えた。もちろん、わずか2週間の期間で技術力が飛躍的に伸びるとは思えなかったが、今自分ができることを一生懸命やろうと思った。

結果はどうなるか分からないが下半身がしっかりすれば球も伸びてくると考え、体幹トレーニング、走り込み、股関節の柔軟など、以前から行ってきた練習メニューの量を増やした。

カーブを習得し投球に幅が

伊波の持ち球は、130km前半のストレート、カーブ、たてのスライダーとフォーク。

威力あるストレートをコーナーに投げわけるコントロール、キレのあるカーブを武器とする。今では大きな武器となっているカーブだが、以前は全くダメでストレート中心に投球を行っていた。

しかし、春の全国大会に向け、変化球も覚えないと全国の打者を抑えられないとカーブの習得に励んだ。

どんなふうに抜けばいいのか、どんな感じに腕を振ればいいのか、試行錯誤を繰り返しながらずっと練習を続けた。そして全国大会を前にようやく使える球種となった。

そのカーブは全国大会でもしっかり通用した。「今は、一番自信がある球。直球をどう活かすかには緩急が必要。これからもどんどん使っていきたい。さらに進化させたい」。伊波の成長のあとは、他にもうかがえる。

春の全国大会で上り調子となり、中学3年になってからもストレートの球威は増し、アウトコース インコースをしっかりと投げ切れるようになった。本人も成長を感じている。

米国チームと対戦

NOMOジャパンは、8月20日に出発し、ロサンゼルスで2試合、サンディエゴで2試合を行った。

伊波は、そのうち初戦と第4戦に登板。対するアメリカの選手たちは「大人みたいな体格、本当に同級生かなと思った。勝てるのかなと思った」。

それでも伊波は臆せずマウンドに上がった。第1戦は、6回、7回の2イニングを投げ1失点。第4戦では、6回途中の一死一、二塁のピンチの場面で登板し、ショートフライ、三振で切り抜け、8回途中までの3イニングを無失点に抑えた。

アメリカでの試合は、アメリカのボールを使用。大きさ、縫い目の大きさも日本のボールと違っていたが、伊波にとってはそれが合っていた。

変化球の曲がりが大きくなった。カーブがするどく曲がる、たてのスライダーも大きく落下。日本のボールでは経験したことない変化に驚きを覚えたが、それ幸いと試合では試合でどんどん使った。

結局、アメリカでの登板は5イニングを投げて1失点と好結果となった。

マウンドで投げることがさらに楽しくなった

アメリカ遠征から帰ってきた伊波は、マウンドでいきいきと投げる自分を感じている。

レベルが上の同年代のすごい選手たちを知ったこと。その選手たちと一緒に野球ができたことは一生の宝だと思っている。

アメリカの大きな選手を相手に投げて抑えられたことは自信となった。

「全国の皆が簡単に経験できることでないことを経験できたので、マウンドで投げることがさらに楽しくなった。

アメリカ遠征後は、ピンチのときでも自分に余裕があって、慌てずコースに投げ切れている。そういうところも成長できたのかと思う」と伊波。

ジャパンのメンバーと甲子園での再会を誓う

「野茂さんが常に言っていたことは全力でやれということ。

自分のレベルは、まだまだなので、高校に入ってからは一から野球をやろうと思っている。野茂ジャパンで一緒にプレーしたメンバーとは、甲子園の舞台で会おうと約束した」と来春進む高校野球にも思いを馳せる。

そして、最後は大矢ベースボールクラブの皆に感謝した。

「NOMOジャパンのユニホームを着ることができたのも大矢BBCがあったからこそ。仲間と野球ができて、春の全国準優勝もできた。大矢BBCに感謝して、アメリカで経験したことを皆に伝えたい」

PROFILE

伊波洋一 大矢ベースボールクラブ(鏡原中)

平成13年9月生まれ。鏡原中学3年。身長173cm、体重70kg。右投げ右打ち。
幼児期に祖父とのキャッチボールが野球の原点。小学校1年入学と同時に小禄ドラゴンズで野球を始める。その後、地元の宇栄原小学校のチームへ移り、壁あてが日課の小学時代だった。野球を始めた小学校1年生から投手。

 

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