臀部から下肢にかけて痛みやシビレを伴う『梨状筋症候群』

臀部から下肢にかけて痛みやシビレを伴う『梨状筋症候群』

2016-05-15

臀部から下肢にかけて痛みやシビレを伴う「梨状筋症候群」。その梨状筋症候群について「てるクリニック」院長の照屋先生と同クリニック放射線技師である我謝技師とのお話しを通して説明します。

梨状筋症候群とは

G:梨状筋症候群は一般的にあまり聞き慣れない言葉だと思うのですが具体的にどう言う疾患なのか教えてください。

T:梨状筋はお尻にあるの筋肉のひとつで、仙骨から大腿骨の上部に繋がっています。その梨状筋の下に骨盤部から下肢に伸びる坐骨神経が位置します。この坐骨神経が梨状筋により圧迫され下臀部から大腿部裏・下腿部裏と前面・足の甲と足裏にかけて痛みやシビレ、知覚障害を引き起こす症状の事を「梨状筋症候群」と言います。(画像参照)

G:では、坐骨神経が梨状筋によって圧迫される原因は何が考えられるのでしょうか。

T:スポーツなどで腰や臀部に強いストレスが繰り返し加わり起こる事や、臀部の打撲や股関節捻挫などの外傷によって起こる事もあります。また、椅子に長時間座ることにより起こる場合などもあります。

スポーツによって起こる要因としては、ランニングなどの股関節の屈伸を何度も繰り返す動作により梨状筋と坐骨神経が摩擦を繰り返して炎症を起こし梨状筋が坐骨神経を圧迫する事によって一連の症状が出ます。

G:腰椎ヘルニアでも下肢のシビレの症状が出ますが、それらと区別出来る特徴的な梨状筋症候群の症状はありますか?

T:椎間板ヘルニアは通常下肢に広がる坐骨神経痛に加え腰痛を伴いますが、梨状筋症候群の場合は、慢性的な痛みやシビレがまず臀部に生じ、その後坐骨神経の走行に沿って(大腿部→下腿部→足部)広がります。

椅子や便座に掛けている時やランニング中など、梨状筋が坐骨神経を押す様な状態になる時に痛みやシビレが激しくなる特徴があり腰痛は伴いません。

梨状筋解剖

【検査と診断と治療方法】

G:病院ではどのような検査を行うのですか。

T:梨状筋症候群についてはレントゲン検査やMRI検査だけでは鑑別診断は難しいです。ただし、それらの検査で他のいろいろな疾患を除外する事は重要です。それに加えて診察の際に仰向けやうつ伏せの状態で下肢のさまざまな動きを確認しながら痛みやシビレの増強や誘発の有無を確認し総合的に判断し鑑別診断を行います。

G:梨状筋症候群と診断された場合はどのような治療を行うのですか?

T:患部を温める事で血流の改善を促し症状を軽減させる目的で温熱療法を行います。またそれに加えて梨状筋症候群に合わせたストレッチ方法を指導し症状の経過を観察します。まれに痛みやシビレが強い場合は局所的なブロック注射を行う場合もあります。

G:この疾患に対する予防や注意点はありますか。

T:スポーツによって起こる多くの梨状筋症候群はオーバーユースによる筋肉の硬直がその原因だと考えられています。普段から運動前や運動後に股関節のストレッチを充分に行う事は予防にはとても重要です。

G:ありがとうございました。 T:照屋先生 G:我謝技師

てるクリニック院長 照屋 均 さん

1962年生まれ。那覇市出身

平成13年3月天久新都心に「整形外科てるクリニック」を開院。スポーツドクター専門医。肩関節とくに投球障害に関する専門医。

平成16年2月社会人硬式野球チーム「てるクリニック」を立ち上げる。現在、野球部部長兼投手として選手育成に努めている。

てるクリニック技師 我謝 幸夫さん

放射線技師としててるクリニック開院時から勤務

沖縄MR研究会世話人。沖縄MRPユーザー会を立ち上げるなど整形分野のMRI検査に力を入れている。

てるクリニック硬式野球部では副部長

 

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