子供に起こる特有の骨折『若木骨折』

子供に起こる特有の骨折『若木骨折』

2015-06-01

子供に起こる特有の骨折「若木骨折」について「てるクリニック」院長の照屋先生と同クリニック放射線技師である我謝技師とのお話しを通して説明します。

【若木骨折とは】

G :骨折にも複雑骨折・剥離骨折・圧迫骨折・疲労骨折などいろいろありますが、今回は若木骨折について具体的にどういう骨折なか教えてください。

T:若木骨折は子供に起こる特有の骨折です。

大人のように割り箸が折れるようないわゆる骨折ではなく、子供の骨は柔らかいので部分的な骨折(不完全骨折)を伴って曲がったように骨折することがあります(画像1参照)。

千歳飴や針金に力を加えて折れるのではなく曲がってしまう状態を想像すると判りやすいと思います。

この様に子供の骨で力を加えても折れるのではなく曲がって変形する状態が若木の枝を折った時の様子に似ていることから若木骨折と呼ばれるようになりました。

G:若木骨折の好発部位や原因・特徴を教えて下さい。

T:転倒や転落で手をついた際、手首(橈骨遠位部)に起こる事が多いです。

もちろん外力が加われば鎖骨や大腿骨などどこにでも起こる可能性があります。

若木骨折は盛り上がった状態で曲がってはっきりわかる事もありますが微妙に曲がっている場合は見た目には判りづらくその場合は症状も軽いのでそのまま放置ししばらく経って痛みが引かないということで受診される方も少なくありません。

また、通常大人の場合は圧迫によって起こる圧迫骨折も子供の場合は骨が柔らかいので圧迫して押しつぶされた部分が竹の節のように外側に膨らんだ形になる骨折もあります。これを竹節状骨折と言います(画像2参照)。

これも若木骨折と同様に軟らかい骨に起こる子供特有の骨折です。

(若木骨折)手関節レントゲン側面像 (竹節状骨折)手関節レントゲン正面像

【検査と診断と治療方法】

G :病院での検査について教えて下さい。

T:大体の若木骨折はレントゲン検査で判断できます。必要に応じてCT検査やMRI検査を行う場合もあります。

G :若木骨折と診断された場合はどのような治療を行うのですか?

T:ギブスなどで固定を行う事が一般的です。固定しておけば骨もほとんどが元通りまっすぐになり数週間で完治できます。

若木骨折は大人の骨折と比べて早く治癒するのが特徴です。

G :この疾患に対する注意点はありますか。

T:乳幼児や小さなお子さんの場合、微妙な曲がりだとそれに気付かず、またあまり痛がらないこともあるのでそのまま放置し曲がった状態で成長してしまうこともあります。

特に乳幼児の場合は上手く意思表示も出来ないので転倒や外傷後はよくお子さまを観察しておく事も大切です。

いつもと動きが違う場合や患部をかばう仕草がしばらく続く場合は注意が必要です。

また、若木骨折に加えて骨端線に損傷があることもあります。

骨端線は骨の成長に関わる部分でそこが損傷してしまうと骨の成長にも影響が出る可能性もあるので異変に気付いたら早めに整形外科を受診し正確な診断と適切な治療を受けることをおすすめします。

G :ありがとうございました。

T:照屋先生 G:我謝技師

てるクリニック院長 照屋 均 さん

1962年生まれ。那覇市出身

平成13年3月天久新都心に「整形外科てるクリニック」を開院。スポーツドクター専門医。肩関節とくに投球障害に関する専門医。

平成16年2月社会人硬式野球チーム「てるクリニック」を立ち上げる。現在、野球部部長兼投手として選手育成に努めている。

てるクリニック技師 我謝 幸夫さん

放射線技師としててるクリニック開院時から勤務

沖縄MR研究会世話人。沖縄MRPユーザー会を立ち上げるなど整形分野のMRI検査に力を入れている。

てるクリニック硬式野球部では副部長

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ベースボールクリニック:子供に起こる特有の骨折『若木骨折』 トップに戻る