足首の後ろが痛くなる疾患『三角骨障害』

足首の後ろが痛くなる疾患『三角骨障害』

2015-04-15

足首の後ろが痛くなる「三角骨障害」について「てるクリニック」院長の照屋先生と同クリニック放射線技師である我謝技師とのお話しを通して説明します。

三角骨障害とは

我謝技師三角骨障害は一般的にあまり聞き慣れない疾患だと思いますが、三角骨損傷とはどういう疾患なのか具体的に教えてください。

照屋先生 足関節を構成する距骨(画像1参照)の後方に三角骨(画像2参照)という突出した過剰骨(10人に1人の割合で先天的に三角骨が存在すると言われています。)が存在する方がいます。この部分がスポーツなどで底屈(足首を伸ばした状態)の動作を繰り返すことにより圧迫刺激を受け炎症や痛みが生じてしまう疾患です。サッカーのシュート時やバレエのポワントのようなつま先立ちの姿勢の際に足関節後方に痛みが起こる場合にはこの疾患を疑います。この疾患の場合、アキレス腱のやや外側に圧痛を訴えます。三角骨障害は別名、足関節後方インピンジメント症候群とも言います。

我謝技師三角骨障害が起こってしまう原因を教えてください。

照屋先生 ボールを蹴る動作などの時は足関節後方にストレスが掛かります。三角骨が存在する方の場合、この底屈の動作やストレスを繰り返し行う事により三角骨が関節部分に挟まってしまい徐々に炎症や痛みが起こります。三角骨障害の弊害として三角骨近傍を走行する長母趾屈筋腱に炎症を起こすこともあります。また、この疾患はスポーツなどのオーバーユースなどの慢性的に起こるもの以外にも捻挫などの急性外傷をきっかけに痛みが発症する場合もあります。

検査と診断と治療方法

我謝技師病院ではどのような検査を行うのですか。

照屋先生 症状に加えてレントゲン検査で距骨後突起部分に三角骨が存在するかを確認し診断を行います。また、CT検査やMRI検査を行うとより詳しく調べることができます。MRI検査の場合、炎症の度合いも判断することができるので有用だと思います。(画像3参照)

我謝技師三角骨障害と診断された場合はどのような治療を行うのですか?

照屋先生 多くはテーピングにより底屈制限を行いさらに運動の制限も行います。このように保存療法で経過を観察します。症状によっては内服や注射などの鎮痛処置を行うこともあります。一過性の場合2~3週間の安静で痛みが治まるもとが多いのですが経過観察してそれでも改善がみられない場合や再発を繰り返す場合は手術によって三角骨を切除する場合もあります。最近では内視鏡下で手術を行うことが多くなっているため術後の早期回復も期待できます。

我謝技師この疾患に対する注意点はありますか。

照屋先生 足関節後方の痛みはアキレス腱の痛みと思いがちですが、足首の後ろが痛くて、つま先立ちをするとその痛みが増す場合や、また、捻挫をきっかけに捻った部分以外に足関節後方も痛み出し、捻った部分の傷みは良くなっても足関節後方の痛みがなかなか良くならない場合などは三角骨障害の可能性もあります。その場合は早めに整形外科を受診し適切な治療を受けることをおすすめします。

我謝技師ありがとうございました。

てるクリニック院長 照屋 均 さん

1962年生まれ。那覇市出身

平成13年3月天久新都心に「整形外科てるクリニック」を開院。スポーツドクター専門医。肩関節とくに投球障害に関する専門医。

平成16年2月社会人硬式野球チーム「てるクリニック」を立ち上げる。現在、野球部部長兼投手として選手育成に努めている。

てるクリニック技師 我謝 幸夫さん

放射線技師としててるクリニック開院時から勤務

沖縄MR研究会世話人。沖縄MRPユーザー会を立ち上げるなど整形分野のMRI検査に力を入れている。

てるクリニック硬式野球部では副部長

 

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