やんばるスラッガーズ PICK UP! TEAM

やんばるスラッガーズ

2016-11-15

ライバル同士が一つのチームとなる

今から3年前。第1回ドリームカップにてチームを優勝に導き、MVPに輝いた岸本恭里は高校野球のステージでも主力として活躍。

第98回全国高等学校野球選手権沖縄大会の準々決勝の美里工業高校との試合で、宜野座高校は3対3の同点に追い付いた。その直後の6回裏、先頭打者として打席に入った岸本の打球はスタンドへ入る逆転弾となった。

惜しくも試合には敗れたものの、見事なホームランを放ったその岸本を育てたのが、これから紹介するやんばるスラッガーズだ。

立ち上げ当初、北部には中学生硬式野球育成会の名護フリッパーズがあったが、部員が70名ほどの大所帯。これでは試合はおろか、練習でさえも全員が真の意味で硬式野球の経験を積むことは不可能に近い。

「もうひとチーム作ろう」。阿波連一光氏が代表を務め、羽地少年野球部の監督でもある大城博敬氏が監督を引き受けてスタート。

天久正人氏に島袋光紀氏を合わせた4人が中心となり、北部地域の子供たちが高校野球のステージで活躍するようにとの願いを込めて船出した。

「ですが、当初は道具も場所も無く大変でした」と、阿波連代表は振り返った。ボーイズやヤングなどと違い、各中学校軟式野球部に所属していた部員たちがゼロからスタート。硬式野球の道具なんぞある訳も無かった。

しかし、育成会の意義に賛同した沖縄県高校野球の先生方が助け手となる。「僕らにとっては名護商工さんが道具を貸して下さった」。大会に出ることなんて夢のまた夢。そんな思いもあったが、父母が率先して協力してくれたお陰もあり、数々の大会で好成績を収めることが出来た。

練習場所も苦労していたが、3期生の父母の協力もあって現在でも国頭球場を使わせてもらっている。

昨年冬のKBC学園杯新人野球大会で優勝した名護中学や、去った夏の選手権野球大会で優勝した大宮中学などが集った今年の5期生たち。最初はみんな緊張してよそよそしかったが、「中学はライバルだったが、やんばるスラッガーズで球友として共に高めあっていける」と金城和尋(大宮中学)くんが語るように、野球が好きなことは一緒。数回顔を合わせたらフレンドリーだ。

部員数が40名を超えるほどとなったため、スタッフはうるま市長杯への出場を2チームに分けた。

大宮中学で10本以上のホームランを放ち、ジャベリックスローで県2位、スイングスピードは150キロを越える岸本舞菜斗(大宮中学)を筆頭に、能力の高い子がいるが、主力のAチームとそれに準ずるBチームではなく「僕らは育成会。勝利ありきではなく、全員が試合で経験を積むことが第一」(阿波連氏)のため、チーム力量を均等に分けている。

「軟式とは違い、硬式野球は打った時の感触が最高」(岸本)。「小学校では同じチームだった友との再会も嬉しい」(比嘉大晴主将)。「今の僕らが出来る親孝行の1つとして、練習に試合に励むことが出来る」(金城)など、やんばるスラッガーズでの活動に喜びを見せていた。

ライバル同士が一つのチームとなった子供たちの元気な声が、今日もやんばるの山々にこだまする。(當山)

TEAM DATA FILE

創部5年
代表阿波連一光
コーチ仲村潤、島袋光紀
MG阿波連詩歩
部員数41名
練習日土、日、祝祭日
練習場所国頭球場
モットー全員が試合を経験する

指導者紹介

阿波連一光 やんばるスラッガーズ代表

1969年3月12日名護市生まれ。
東江中学、北部工業高校卒。息子が一年生の時、大北オーシャンでプレーを始めたのをきっかけにコーチ、父母会長としてチームを支える。その後名護中学で父母会長を、浦添商では父母副会長、女子野球美ら沖縄でも代表を務めた。長女も中学3年まで野球をするなど、野球一家でもある。

やんばるスラッガーズ戦歴

1期生 願寿亭杯争奪中学硬式野球大会準優勝
2期生 中学生ドリームカップ優勝
3期生 スポーツトグチ杯優勝
4期生 うるま市長杯3位

 

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