一所懸命さがあれば誰でも出来る

高良 毅さん

2015-01-15

一所懸命さがあれば誰でも出来る

宮里カープの監督を務める傍ら、中部北支部学童部の審判長も兼任する高良氏が、審判員として本格的にスタートしたのは約10年前だ。

「当時、諸見スワローズの大城朝幸監督が沖縄ブロックの審判長を務めていて、僕が副審判長。でもあの頃の沖縄ブロックには一人も公認審判員が存在していなかった」。そこで大城監督と話をし、高良氏が積極的に習いに行き、動き方やルールの勉強などを重ね、沖縄ブロックに持ち帰ってはブロック独自で審判講習会を開き広めていった。とはいえ、チームの代表の県大会の派遣が懸かる春夏秋の大会は、同時に中・低学年の試合も組まれる。審判が出来る人だけで回すのは物理的にも不可能であり、その案として沖縄ブロックでは、各チームにチームの審判長を置くように指導。大会では立つことが出来る父兄を、チーム内で日頃から育て上げて欲しいと通達している。また、毎年5月頃にはブロックに属するチームの審判員を集めて、高良氏を筆頭に審判員として経験を積んできた方々が講習会を開き指導。そういった努力の甲斐あって、沖縄ブロックの審判員のレベルは、県内でも上位クラスと言われるほどに成長している。

中には、いやいや僕には審判なんて無理です。という方も多いかと思うが、高良氏は「子供たちにはちゃんとしろ!と指導している。なのに大人はやっていないのでは本末転倒ではないか」と投げ掛ける。無様な姿を晒しても良いではないか。最初からすぐに出来る人なんて一人もいない。グランドに立ち、直接ジャッジすることを繰り返すことでしか、一人前の審判員にはなれないのだ。

「10年以上も審判員として立ち続けている自分だけど、今でも試合前の怖さはある」と高良氏。もしかしたら一つのミスジャッジが、勝敗を決することになるかも知れない。でも人がすることなので、審判員と言えども間違いを犯すことだってあり得る。だからこそ、「いつも真剣になって立つ」ことを忘れないようにするのだと言う。一所懸命やってますという姿を見せることで、見ている周りも分かってくれるのだ。

「ルールの範囲内なら何をやっても咎めは無いが」と前置きした上で、高良氏は各学童のチーム指導者に、ルールの上でも少年野球としての基本を教えて欲しいと願う。中学、高校に上がれば、否が応でも勝つためのギリギリの作戦をする。大雑把に言えば、社会人野球で当たり前のルールの盲点を突くような野球を学童でやれば、勝つのは造作もないことだろう。「小学生にそんなことをさせるなと、僕のように伝達する人が居なければ、みんな一般の考えで指導してしまう」と高良氏は警鐘する。「野球って楽しいと子供たちが思えるように、学童野球は指導して欲しい」。これが、実際に聞かれる、高校野球の指導者からの要望だ。「毎年チームの父兄は変わって行くけれども、みんなが子供たちのために、ルールを含めた審判の動き方や心構え、技術といったものを教え続けていけるような環境になってくれたら嬉しい」。

今一度、頑張る子供たちのために自分も一所懸命、審判員として立ってみよう!学童チームに携わる、そう思う父兄が一人でも多く生まれますように。

 

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