審判の技術の向上は、選手の技術の向上にもつながる

宮城秋夫さん

2015-07-15

審判の技術の向上は、選手の技術の向上にもつながる

高校時代、放課後に家の手伝いをしなければならなくなり、2年進級時に泣く泣く野球部を退部したという宮城さん。

そのため、やりたかったけどできなかった、野球をやりきっていないという思いが強く、その思いが宮城さんを、少年野球、連盟、審判と長く野球に携わらせることとなった。

宮城さんが、審判としてグランドに立つようになったのは15年前のこと。

当時、学童野球で大会長やブロック長を務めていた宮城さんのもとに、ルールに関する問い合わせが色々と寄せられた。

特に少年野球の場合は、子どもたちは突拍子もない動きをすることも多く、宮城さん自身がその場に立ち会っていないこともあり、ルールブックをいくら読んでも判断がつきかねる案件が多くでてきたという。

そのことから「これは実際に現場で経験を積むしかない、自分で実践して審判をやっていかないと答えることが出来ない」と考えるようになった宮城さんは、南部支部の審判員の門をくぐった。

それ以来、一般、中学生、学童とほぼ毎週のように試合で審判に立っている。

「しっかりルールブックや競技者必携を読むのは基本ですが、まず身なりからきちんとするようにしています」と宮城さん。

上着もきちんとアイロンがけし、靴もきれいにし、試合開始の1時間前に球場に入る。

コンマ何秒の世界で、人間が判断することなので、当然ミスもあるが、選手から信頼の置かれる審判を目指す。

そのため、身なりも含めてグランドに向かうときにも「これから審判をしに行くんだ」と気を引き締め、グランドに入ったらときから、グランドを後にするまで、しっかりとした言動をとるように心がけている。

宮城さん自身が、軟式野球のプレーヤーとして活動していたこともあり「野球をやっていて、審判がしっかり見てくれると楽しいものですよね。

選手がプレーをしていて際どいところをしっかり判定してあげるっていうのが大事だと思います」と技術の向上にも余念がない。

宮城さんが実際に審判をやるようになって感じたことは、アピールがきたときの収め方に気を使うということ。

もちろんアピールもなくスムーズにいけば、何事もなくて当たり前の審判の仕事として「OK」な試合なのだが、ときにはトラブルも発生する。

トラブルや判定へのアピールがあった場合は審判員が集まり協議するが、どのように対処するかが試合を進める上で大事だという。

トラブルなくスムーズな試合進行のため、試合前のミーティングでは、特に軟式野球で多い自打球の判断については、塁審とジャッジについての確認を欠かさないようにしている。

元々学童や中学生のコーチを務め、支部の運営など野球に携わってきて、自分が必要性を感じて審判をやりたいと思い審判になった宮城さんは、「ルールブックに書かれていないケースに遭遇すると楽しいし、競技者必携に書かれているいろんな問答集を読んでいると面白くなってくる」という。

学童野球関係者からの問い合わせにも、現場を重ねた今は、最初の頃に比べると、具体的にシーンがイメージできるようになったことで、経験を活かしたアドバイスを行なっている。

また、長きにわたり学童野球に携わってきただけに、学童野球の審判の技術の向上にも気にかける。

学童野球は指導者や父母が審判を務めることも多い。「あやふやな判定だと子どもたちにも良くないと思うし、審判の技術が上がれば、当然、子供たちの技術も上がってくるんですね」。

支部でも、指導者や父母を対象とした審判講習会を行なうようにしているという。

ちょうど今月、還暦を迎えた宮城さん。今後もずっと野球と関わっていたいと思っている。体のケアをしながら、これからも体力の続く限りは審判を務めるつもりだ。

Profile

宮城秋夫さん

沖縄県野球連盟南部支部長。
昭和30年生まれ。大里村(現南城市)出身。
大里中で野球部、知念高校では家庭の事情で野球部を途中退部。
南部支部では、学童野球に長く携わり、南部Aブロック長、学童部長を歴任、昨年より支部長を務める。
審判歴は15年。

 

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