内間滝介
内間滝介
元浦添商業主将は、東北で輝きを増しているさ~!
2016-06-15
貴重なベンチ入り
大平 「まずは、大学が見事出場おめでとうございます。そして、お忙しい中、貴重な時間を賜り、ありがとうございます。」
内間 「いえいえこちらこそ。今日はわざわざ宮古から来られたのですか?」
大平 「いえ、住民票は内地です。ですから、お気遣いは無用ですよ。しかし、他のうちな~んちゅ部員も来られているかと思ったのですが、ベンチ入りの内間さんだけなのですね。」
内間 「他の連中は、試合前日の深夜に、バスで花巻を出発する予定です。ですから、球場にいらしてくだされば、会えますよ。」
大平 「そうですか。残念です。特に、宮古高校出身の久貝さん、来間さん、宮国さんとは、3年振りなので、会いたかったのですが、6月6日の月曜日はちょっと.....。ここは何としても、準決勝以降まで残ってくださって、球場で応援する機会を与えてくださいね。」
内間 「そうなのですね。頑張ります。」
大平 「でも、こうして貴重なベンチ入りを果たした内間さんに話を聞けたのは、良かったです。」
内間 「ありがとうございます。ベンチ入りは、その時々の体調や、好不調の状況もありますからね。自分は何とか、ベンチ入りに値する体調と調子を維持できたのが幸いしました。」 大平 「選手層の厚い富士大学で、大きな大会のベンチ入りメンバーに入ると言うのは、並大抵のことでは無いと思います。3年以上経つとは言え、親元を離れ、沖縄と相当違う気候環境で生活している訳ですから、その点でも、内間さんは凄いと思いますよ。」
内間 「まぁ、本音を言えば、手登根や久手堅等、同級生と一緒に神宮で試合に出たかったと言う気持ちはありますけどね。でも、チームの勝利のために、最善のメンバーを選んだと思うので、選ばれたことは光栄と思い、全力を尽くして勝利を目指します。」
環境の違い
大平 「皆さんの試合の内容や映像は、動画やCSテレビで観ることができるのですが、普段の生活や練習等、中々知ることのできない話をうかがいたいと思います。」
内間 「なるほど。」
大平 「まず、生活環境面ですが、沖縄と岩手県の内陸の花巻市とでは、気候が全く違いますよね。私は、大学から東京で生活したのですが、気候の違いは大いに感じました。それから温暖化が進んだとは言っても、やはり相当違いがあると思います。この点は、どんな風に感じていますか?」
内間 「授業は屋内で受けていますから、沖縄と大差無いのですが、特に冬ですね。日本海側程雪は降らないと言っても、練習は全く行えない位、雪が積もります。」
大平 「冬は、体力や筋力を鍛える練習が中心ですかね?」
内間 「ですね。上等な屋内練習場がありますので、満足の行く環境と思います。何も、年がら年中ボールを使った練習をしないといけないと言う訳では無いですから。」
大平 「素晴らしい。是非、その屋内練習場を直接観てみたいですね。冬以外の練習は、どんなですか?」
内間 「基本的に夕方から、ですね。花巻は、沖縄と1時間位時差があると思い、夜暗くなるのが早いのですが、照明付きの上等練習場がありますから。」
大平 「では、練習環境については、沖縄との違いはあるものの、甲乙付け難いと言う訳ですね。沖縄は、雨が多いですからね。食べ物については、どんなですか?うちな~んちゅの皆さんは、寮生活ですよね?」
内間 「はい。皆寮生活です。食事については、確かに沖縄料理を簡単に食べられる環境では無いのですが、自分は全く不自由さは感じていません。」
大平 「なるほど。寮の中で、自分で料理を作ることはできるのですか?」
内間 「できます。ですので、沖縄から、コンビーフやポークを送ってもらって、自分で炒めたりして食べている連中も、いますよ。」
大平 「では、『富士大学の皆は、ちゃんとご飯食べているのかね~?』とか、『内地で生活しようと思うけど、食事面は大丈夫かね~?』とか、心配している人が結構いると思いますが、全然ぬ~あらんさ(どうってこと無いさ)って所ですね。」
内間 「そうですね。流通も発達していますし。沖縄そばも、カップ麺がありますから。」
授業について
大平 「次に学生の本分の学業について聞きましょうね。富士大学は、外国語に力を入れていると聞いていますが、実際に学んでいる人間としては、どう感じていますか。」
内間 「それは強く感じています。具体的には、自分何かの学部は、1~2年の時は英語が必修で、3~4年は中国語が必修です。1週間に1度、ネイティブの人が来てから、英会話,中会話の授業もあり、これからのグローバル化が叫ばれている時代に側した内容であると思います。」
大平 「沖縄までの交通費は、確かにかかりますが、長期休みの時にだけ帰沖するのであれば、親の経済的負担と言う点では、東京近郊で大学や専門学校生活を送るよりも、却って軽いかも知れませんね。更に、授業内容も充実しているとなれば、高校時代に野球で慣らした人間で無いとしても、進路の選択枝になりえますよね。」 内間 「そう思います。自分が富士大学に進学を決めた理由は、まぁ、色々あるのですが、野球の面でも授業の面でも、満足しています。 」
進学理由
大平 「では、内間さんが富士大学に進学を決めて理由を教えてください。」
内間 「大きく3つですかね。まずは、(現西武ライオンズの多和田)真三郎さんがいて、大きな大会に頻繁に出場しているので、非常に高度な野球ができるであろうと思ったからです。」
大平 「なるほど。ここの所、春と秋の神宮大会の常連校になりましたからね。」
内間 「次に、先程も話しました、外国語教育の充実ですね。やはりこれからの時代、外国語は重要だろう、と。後は、浦添商業の時の監督に相談し、勧められたと言う、その3つが大きな理由ですね。」
大平 「内間さんの同級生には、浦添商業出身の部員はいないのですが、それぞれの学年で、同じ高校出身の部員が複数名いると言う状態ですけど、高校の時の同級生が身近にいると、ささえ合うことができると言うこともありますよね。」
内間 「それぞれの連中が、監督や学校の先生から勧められたのか、仲の良い仲間同志で決めたのか、それぞれと思いますが、昔から知っている人間が近くにいるのは、沖縄から遠く離れて生活している状況では、非常に頼りになります。でも、野球部には、うちな~んちゅが20名以上いるので、寂しさは、無いですね。 」
大平 「私が大学に進学した時代は、内地と言えば、東京,大阪,福岡位しか選択枝が無い状態でした。更に、沖縄出身だと言うと、それこそ見た事の無い生き物を見るような感じで扱われ、翌日にはわざわざ知り合い連れて見に来ると言う状態でした。」
内間 「うわ~、何か、とんでも無い時代だったんですね。」
大平 「そうなんですよ。それだけ、沖縄は、うちな~んちゅは、珍しい存在だったのでしょうね。同じ日本人だのに。」
内間 「それに比べたら、今は全然特別視されませんから、東北の山間部で生活していても、ストレス等は感じませんので楽ですね。」
大平 「内地に進学するとなると、我々の世代には、未だうちな~んちゅを奇異の目で見る風潮があったので、それを知っている親御さんは心配するかと思いますが、今は、全然そんな心配不要ですよね。却って、沖縄出身と言うと、『カッコイイ!』って言われる時代になるとは、当時は夢にも思いませんでしたから。」
内間 「さすがに、沖縄の高校の進学担当の先生等には、そう言う情報はキチンと入っていると思うので、高校生の皆さんは、安心して進路指導を受けて欲しいと思います。」
甲子園メンバーとの交流
大平 「内間さんが甲子園に出場した時のメンバーは、今でも連絡を取り合っていますか?」
内間 「はい。例えば、(エースで、専修大学に進学した)宮里や、(当時、現日本ハムの大谷に続く、日本で2番めに速い球を投げていて、亜細亜大学に進学した)照屋等は、電話,メール,LINE等で、しゅっちゅうやりとりしています。」
大平 「よほどの事が無い限り、高校時代の部活仲間とは、大学進学後も、いや、一生連絡取ってやりとりすることが多いと思います。」
内間 「ただ、実際に会うとなると、東京近辺にいる連中に限られますけどね。それも、神宮大会で来た時だけなので、個人的には、神宮大会出場に、より一層気合を入れています。」
大平 「うちな~んちゅ以外でも、東京近辺に会いたい友人がいる部員は多いと思うので、その会いたい気持ちも、富士大学が強い要因の1つかも知れませんね。」
内間 「リーグ戦では、対戦相手にうちな~んちゅがいたことが、今まで無かったので、うちな~んちゅと対戦したいと言う気持ちが、個人的には強いです。恐らく、これも他の部員も同じ感覚かと思いますので、リーグ戦制覇の、神宮大会進出の原動力の1つになっていると思います。」
大平 「うちな~んちゅ対決は、我々観客の憧れでもあります。どちらにも勝って欲しいものの、勝者はどちらか1つ。私の母校は、神宮大会進出の可能性は、限りなくゼロに近い弱小大学なので、うちな~んちゅ対決の際は、どちらにも均等に声援を送ることができます。」
内間 「今回も、1試合でも多く、そして、うちな~んちゅ対決ができるように頑張ります。」
大平 「期待しています。そして、何としても、準決勝以降まで残ってください。週末ならば、神宮に行って応援できますから。今日は、貴重な話をありがとうございました。」
内間選手とは、甲子園に応援しに行った時以来の再会でしたが、至近距離で見ると、女性とも思えるような、繊細で端正な顔つきでありながら、服の上からでもわかる鋼の体を併せ持つと言う、相反する2つの要素を融合させた外観。
そして、浦添商業の主将として、現在は内野手長として、多くの部員をまとめる経験から醸しだされる圧倒的な求心性は、人を引きつける魅力満点の存在でした。
ブ厚い選手層の富士大学野球部において、常にレギュラーの中心にいる内間選手は、普段の練習を欠かさないこともさることながら、冬の雪の時期についても、よどみなく説明してくださったことからも、制限のある環境の中で、最大限の効果を上げるために、常に考えながら練習に取り組んでいることがうかがえました。
また、授業についても、進学の理由として上げた外国語に、積極的に取り組み、それを自らの物に、着実にしていることが感じられました。
足を引っ張る訳では無いのですが、「そんなに頑張らなくて良いからよ~。」と言いたくなりますが、これが内間選手のスタイルで、今までずっと続けて来たことなのだろうなと思い、笑顔を向けるだけにしました。
そして、真面目に、精一杯やることは、とっても重要だなと、自らの行動について、考え直す機会を得ることができました。たんでぃが~たんでぃ~(にふぇ~で~びる)、内間選手。
東京から富士大学に行くには、1番楽なで安価な方法は、仙台まで新幹線で行き、仙台から富士大学までのバスですが、富士大学から仙台行きのバスが、午前中しか無く、従って、花巻市で1泊が必須です。このため、日程調整等から、富士大学行きに対して、二の足を踏んでいました。
しかし、今回内間選手に話を聞き、是非直接富士大学を野球部の練習を観てみたいと言う気持ちが、更に強くなりました。何とか、日程と旅費の調整をつけてから、是非行ってから、再会しましょうね。
神宮の優勝旗を花巻市に、そして、沖縄に持ち帰ることを期待したいます。
チバリヨ~、内間滝介!