牧港マリナーズ PICK UP! TEAM
牧港マリナーズ
2016-06-15
「元々、この小学校には3つの野球チームがありました。」と語るのはマリナーズ初代監督を務めて現在も部長としてチームに残り、低学年の練習を引き受ける大城氏(64歳)。
こういっては失礼だが、ご高齢の身体からは想像も出来ないような、華麗なノックを放つ。
その傍らにいるのは西平氏(71歳)。なんと第45回全国高等学校野球選手権大会(昭和38年)において、県勢初の甲子園勝利を手に入れた、伝説の首里高校ナインの一人である。
基本に忠実な、右足始動からのスローイングは、今もなお健在だ。このベテラン2人の練習を受ける低学年たちのプレーも見事。ランニングキャッチを披露したかと思えば、別の選手はスライディングキャッチを試みるなど、型にはまらない伸び伸びとした練習風景がそこにあった。
「幼いうちは、野球って楽しいと感じることが大切」と、高宮城監督は答える。その指導の成果は、去った中部南支部琉球新報杯学童軟式野球大会においても発揮された。
2回戦、宜野湾レッドシャークスとの戦いは6回を終えて3点差をつけられる劣勢。7回表のマリナーズの攻撃も走者を一人出すものの、すでに二死と絶体絶命であった。
しかしここから驚異の粘りが生まれる。1点を返しなお満塁で打席には4年生の善平壮朝。
「プレッシャーは全く感じなかった」という打球は走者一掃の逆転三塁打となり勝利。
その勢いを駆り、安定したピッチングが評判のエース大城聡志を中心に一人一人がヒーローとなって、大会3位を勝ち取ったのだった。
選手たちのその集中力と心の強さの秘訣を、高宮城監督が教えてくれた。
「例えばバント練習。10人連続で成功させないとウチでは終わることが出来ない。9人目、10人目は日頃上手い子が立っても失敗することがある。そのときに、何故失敗したのかを教えてあげるのです。そう、これが目に見えないプレッシャーなんだよと」。
チームで大切にしている練習の一つがキャッチボール。ここにもマリナーズならではの、プレッシャーをあえて掛けていく方法をとる。それを退ける強さと集中力が、徐々に選手たちに培われていくのだ。
話を元に戻そう。牧港小学校に3つあったチーム(少年団、メッツ、ライオンズ)だが、平成初期に一つのチームへと融合。名もシンプルに「牧港」。
だが、「子供たちが、なぜ僕らだけ漢字だけなの?と、疑問をぶつけるようになってきたので名前を足そうと」。大城氏が考案したのはシアトルマリナーズ。
同じ港町のチームということで牧港マリナーズと命名。
平成10年の元旦に、新たな船出を開始したのだった。その出港から数年後、バックネットに高々と「感謝」の二文字が掲げられ現在に至る。
威厳さえ感じさせるその看板は、まるで子供たちの成長を静かに見守るかのような優しさをも漂わせる。
「来てくれてありがとうございました。」と、グランドを去る前の筆者に挨拶してくれた子供たちの姿勢に目頭が熱くなった。
常に感謝の心を持つナインは、これからも感動を生み続けていくことだろう(當山)。
TEAM DATA FILE
創部 | 平成10年1月1日 |
部長 | 大城 |
監督 | 高宮城竜 |
コーチ | 伊藤、西平雅寛、又吉、玉城、城間、善平、安里 |
部員数 | 6年生6人以下、合計23人 |
練習日 | 月、水、木、土、日 |
練習場所 | 牧港小学校 |
チームのモットー | 野球が出来る幸せを感謝の気持ちを持って感じよう |
監督取材
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