「強度重視型」と「回数重視型」のトレーニング

時期に合わせたphysical training

2016-02-15

金城判(CHRIST(クライスト)はりきゅう整骨院院長)

「強度重視型」と「回数重視型」のトレーニング

現場のトレーニングにはさまざまな方法があり、それはどんな結果を求めるのか、また、シーズンの時期・成長時期によっても変わってきます。

そして、現在トレーニングには、多くの種類・方法が存在し、有名な選手がやっている等の流行りものが、多く存在し混同してしまい、間違えた認識で取り組んでいる様子も多く観られるのが現状です。

多くのトレーニングには、確かに効果もあり、決して間違えている訳ではありませんが、多くのトレーニング考案者も基本となるトレーニング土台を、重要視した上で更に効果を高める方法や種類を用いています。

ここでは、基本となるフィジカルトレーニングの様式について出来る限りわかりやすく説明していきます。

大きく分けて「強度重視型」と「回数重視型」が挙げられます。

強度重視型は、絶対的な筋力を瞬発的に発揮することが目的で、高負荷を使うのが一般的です。

野球で言えば、野手の打撃の飛距離を伸ばす為にスイングスピードを上げる時、捕球位置までの移動、動作の切り替えし、送球などのスピードアップといった瞬間的な筋力発揮を求められる場合には、強度重視型が有効です。

大きな筋力を出せる筋肉を養いながら、実質的に大きな負荷に耐える身体も同時につくられていくので競技力アップに結び付きやすいトレーニングと言えるでしょう。

一方、回数重視型は、主に軽い負荷、もしくは自重を使い、回数を増やして追い込んでいく方法です。回数が増えると精神的にキツくなりますが、そういう経験をしてここ1番の場面で力を発揮できる能力が身につくはずです。

例えば、野球の投手が、疲労困憊に陥った状態から、いかに相手を上回る力を振りしぼれるかが重要になります。そのような精神的なストレスへの耐久力が問われる場合には回数重視型がプラスに働きます。

ただ、野手は、強度重視型で投手が、回数重視型という訳ではありません。それぞれのポジションに対して両方が必要になりますが、1年通して行うトレーニングにおいて両方の比率が重要になります。

投手で言えば、主にミドルパワーになりますが、野手においては、ハイパワー・ミドルパワーが要求されます。

強度重視でも回数重視でもない工夫としては、加圧トレーニングやスロートレーニングがありますが、これは局所的なストレスを強めることで筋肉をはやく疲労させることが可能なので、体力の低い人、リハビリテーションなどに効果的です。

ただ、必ずしも「負荷が軽い=トレーニングが楽」という訳ではないので、誤解をしないようにしないといけません。それなりの筋肉をつけたいのであれば、やはり回数を増やしてオールアウトに追い込むなどの努力が必要です。

成長期のトレーニングは回数重視型が適している

年代によっても選ぶべきトレーニングは変わってくると思います。

高強度のトレーニングは、筋肉だけではなく関節や骨格に及ぼす力学的ストレスも強く、成長期の選手がハードに行いすぎると、それが原因で成長痛を起こしたり、関節や骨格の障害に結びついたりする危険が懸念されます。

身体が成長し切っていない選手は、低強度・高回数で追い込むトレーニングを選んだほうがいいでしょう。

強い負荷を避けなければいけないのは、まさに身長が伸びている時期。日本の場合は、10~15歳の年代が中心になると思いますが、成長期の定義には難しいものがあり、個人差があります。

高校生になってからも急に身長が伸びる子どももいます。その時期に筋力トレーニングを行う必要性が出ってきた場合も負荷そのものはなるべく軽くしたほうがいいと思います。

一方、高回数のトレーニングは、筋肉にしっかり負荷がかかる割に関節や骨へのストレスは小さくて済みます。〝しごき“になってしまうほどやらせるのは問題ですが、回数を増やしていくチャレンジをさせることは、筋持久力だけでなく、心理的な持久力を高めるという観点からも大切になると思います。

追い込み型のトレーニングで身体がさらに成長する可能性も

回数で追い込むトレーニングをすると代謝物受容反射などがおこり、成長ホルモンの分泌もよくなるので、さらに身長が伸びるかもしれません。

スロートレーニングも内分泌系の働きを活性化させるので同じく体の成長を促進させる効果が期待できます。小学生から取り入れても問題ありません。

成長期までは、「低強度・高回数(あるいはスロートレーニング)」。

成長期を過ぎたら「中~高強度・低回数(あるいはオーソドックスな中~高強度)」。

中高年になったら負担の少ない「スロートレーニング」

これが、成長に応じた効果的なトレーニングといえるかもしれません。

股関節周りのトレーニング

野球にとって股関節は、すごく重要な身体の一部になります。

打つ・投げる・走る・捕球にとって股関節の柔軟性・安定性・強さがなければいけません。下半身から上半身に力を伝える中継点としてもうまく働いてもらえなければ、強い投球も強い打球も安定した守備も走塁もなしえません。

ここでは、股関節の柔軟性・強さを高めるトレーニングを数多く在る中からいくつか紹介していきます。

四股

四股を踏む前に股関節周りのストレッチを行います。
つま先を外に向けて、腰割りの姿勢を取ります。その際に膝が内側に入らないようにして、骨盤と脊柱が一直線になる様に姿勢を保持します。
軸足に体重を移し、反動を使わず軸足の膝を伸ばすことで自然と反対の足が上がってきます。*「足を上げる」という感覚で上げないこと。身体の軸(頸・脊柱ライン)は常にまっすぐ行う。
軸足を伸ばすと股関節周辺が自然にストレッチがかかります。可能であれば上で一秒程度止まります。
息を吐きながら脚が下がる。軸足の膝をゆっくり曲げることで下がるスピードと身体をコントロールする。最初の「腰割り」ポジションに。つま先と膝は同じ方向に向ける。この流れを左右交互に行う。目標は100回です。

ハードルくぐり(左右)

股関節の柔軟性や投手・打者の並進運動(体重移動)の強化にもつながります。
肩の高さほどにバーやロープをセットします。
軸足に体重を掛けたまま反対側に脚を滑らせていき、腰を落とします。その際には、身体の軸は一直線に保ったまま行います。「腰を入れる」
軸足から反対側に体重を移していきます。その際に頭がバーやロープに当たらないように行います。
バーの反対側移り、スタートの状態に戻ります。これを左右10回ずつ行います。
*つま先と膝は同じ向きを向けたまま行います。

ハードルくぐり(前)

股関節の柔軟性や投手の投球ステップ時の膝の位置や体重移動の意識を高める事も出来ます。
肩の高さのバーの前に立ちます。
足を前にスライドしていきます。
膝を曲げて腰を落としていきますが、軸足は後ろ足に置きます。この時も腰が丸まったりしない様に背筋は一直線のままです。
腰の位置はそのまま前方へ体重を前方へ移していき、軸足を後ろから前へ頭がバーに触らない様に移動していきます。
ハードルをくぐってスタートの状態に戻ります。これを左右脚交互に10回ずつ行います。

アウフバウトレーニング

これは、ドイツで生まれたトレーニング法ですが、アウフバウとはドイツ語で「体を作る」とか「組み立てていく」という意味です。 このトレーニングを用いて股関節周辺のトレーニングを行っていきます。

基本姿位と仰向け

仰向け(3種目)
足首を90°にしてつま先はまっすぐ天井を向けます。
足首を90°を保ったまま、膝を伸ばしたままゆっくりと上まで上げていきます。
ゆっくりと下し、地面に踵が着かない位置で止めます。これを一回として10回行います。
仰向け2
次に足首を90°にして、つま先を外側に開きます。
これもそのままゆっくり上まで上げていきます。
ゆっくりと下し、地面に踵が着かない位置で止めます。これを一回として10回行います。
仰向け3
次に足首を90°にして、つま先を内側に開きます。
これもそのままゆっくり上まで上げていきます。
ゆっくりと下し、地面に踵が着かない位置で止めます。これを一回として10回行います。
うつ伏せ1
うつ伏せになり、足首は90°の状態で膝を伸ばします。この時、地面に脚が着かない様にします。
1の状態から股関節を外側から横に膝を曲げながら最大限に引き上げていきます。この時、腰が浮いたり、膝の内側が地面に着かない様に行います。
2の状態から戻して1回とし10回ゆっくり行います。
うつ伏せ2
足首を90°膝を伸ばした状態のスタートポジション
身体を捻り、踵を反対側の地面に着ける様に膝を曲げながら上げていきます。
元のポジションに戻して、これを一回とし、ゆっくり10回行います。

これらのトレーニングを行ってみると意外とキツく、自分の股関節の柔軟性が固いのか柔らかいのか、筋力があるのかないのかが分かってきます。股関節と腰の動きは常に連動して動きます。当院では腰痛プログラムとしてもこれらのメニューを取り入れ柔軟性の向上や筋力の強化または、連動性を高めています。

CHRIST(クライスト)はりきゅう整骨院

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