第41回沖縄県高校野球一年生中央大会決勝戦

第41回沖縄県高校野球一年生中央大会決勝戦

2016-12-15

41回目を数える沖縄県高校野球一年生中央大会の決勝が20日、コザしんきんスタジアムにて行われ、KBC学園未来沖縄高校が嬉しい初優勝を成し遂げた。

決勝

KBC学園未来沖縄高校 vs 沖縄工業高校

最古参の沖縄工 vs 新勢力未来沖縄

明治35年に設立された由緒ある沖縄工業高校(当時の名称は首里区立徒弟学校)は、県内最古の工業高校でもある。対するKBC学園未来沖縄は昨年4月、沖縄県高校野球連盟に加盟したばかりで、県内で一番新しい高校だ。その両校が、ともに初となる一年生中央大会での決勝進出を果たし激突。先制したのは沖縄工業高校だった。

1回裏、沖縄工は一死から2番棚原龍太朗が四球を選ぶと盗塁を成功させる。ツーアウトとなったが高島拓也がしぶとくセカンドの脇を襲うタイムリーで棚原がかえり先制。見事4番の仕事を果たした。しかし未来沖縄は2回表、四球と相手のエラーで同点に追い付くと3回、1番宮城晴がセンター前ヒット、城間孝太が技ありのバントヒットとチャンスを広げると宜保翔のタイムリーで一気に逆転した。

5回には2本のヒットで一・三塁とする。ここで1時間45分の降雨中断があったのち、スクイズを仕掛けて着実に加点。その後、山城翔也のライト前2点タイムリーが飛び出すなど大量4点を加え試合を優位に進めた。

投げてはエース新垣龍希が、沖縄工打線に11安打を浴びるも要所を抑える力投。5回裏には無死一塁から三者連続三振を奪うなど、計9奪三振をマークし中央大会4試合全イニングを一人で投げ切った。「試合の大勢も決まった終盤、次の投手の準備は出来ていますとの話は部長からあったが、連投が出来て初めてエースなのだから」と、神山昂監督は新垣の続投を決意。それに新垣も応えた見事なピッチングであった。

沖縄工も9回、二死無走者から新城幹稀と棚原に連続二塁打が出て意地の終盤1点を奪った。試合には敗れたが、この1点が今後の彼らにとって大きなものとなるだろう。強いタテジマの復活を、いち高校野球ファンとして大いに期待する。(當山)

決勝

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
KBC学園未来沖縄0 2 1 0 4 1 0 1 0 9
沖縄工1 0 0 0 0 0 0 0 1 2
(K) 新垣−山城
(沖) 前城、西原、中村、前里−西村
ニ塁打 : 宮城、山城(未)西村、儀間、棚原(沖)

準決勝

未来、沖縄工が初の決勝進出。八重農旋風と逆転の興南。大会を彩ったベスト4

KBC学園未来沖縄高校 vs 興南高校

沖縄水産で監督として初めての甲子園出場を勝利で飾り、その後那覇商で春夏連続出場を果たし名門横浜にも勝利を収めた神山昂監督。片や、2010年に史上6校目となる甲子園春夏連覇を達成した我喜屋優監督。沖縄県高校野球界を代表する二人の名将が約4年と8ヶ月振りに激突した準決勝はやはり、最後の最後まで目が離せない好ゲームとなった。

KBC学園未来沖縄(以下未来沖縄)は1回、先頭の宮城晴がレフト前ヒットで出塁すると犠打で二塁へ。二死後、4番下地俊輝のタイムリーで先制。続く2回には、二死二塁から8番山城翔也と宮城のタイムリーで2点を加えた。追う興南は4回、内野安打と四球の走者をワイルドピッチで進塁させると、仲村匠平が逆らわないバッティングでレフト前へ運び1点を返した。

そのまま迎えた9回裏、興南は先頭打者が相手悪送球の間に二塁へ達すると続く藤木琉悠もヒットで無死一・三塁とする。初戦の中部商、準々決勝の沖縄尚学と連続サヨナラ勝ちを収めてきた興南だけに、「三たびあるのか!」と周囲もざわめく。次打者は倒れてしまうが途中出場でこの試合初打席の永山丈がセンター前へ弾き返し三塁走者が生還した。しかし最後は未来沖縄の新垣龍希と山城のバッテリーが投げ勝ち併殺でゲームセット。神山監督と我喜屋監督の対決も、これで4度目の対戦を終え2勝2敗。未来沖縄と興南の新たな私学対決は、このような名勝負が続いていくに違いないだろう。(當山)

準決勝

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
KBC学園未来沖縄1 2 0 0 0 0 0 0 0 3
興南0 0 0 1 0 0 0 0 1 2
(K) 新垣−山城
(興) 比嘉良、藤木−具志頭

沖縄工業高校 vs 八重山農林高校

「練習の8、9割方を打撃に費やしてきた」(砂川玄隆監督)八重山農林高校(以下八重農)が、古豪沖縄工業高校(以下沖縄工)と対戦した。八重農は初回、トップの鷹野蒼治郎がレフト前ヒットで出塁する。犠打で進め宮城羅のヒットで一・三塁とし、4番儀間遥希のタイムリーで先制した。

しかし沖縄工は2回、死球とヒットで一・三塁とするとスクイズで同点とする。その後は押し出し、ワイルドピッチ、内野ゴロの間にそれぞれ加点し、このイニング僅か1安打で4点を挙げた。八重農は7回、二死一塁から宮城がセンターを襲う大きな当たりを放つ。

一塁から一気に本塁を狙った鷹野だったが、沖縄工野手陣も慌てずキッチリ繋ぎタッチアウト。その裏、沖縄工は代打で登場した安里剛の走者一掃三塁打などで4点を奪い大勢を決める。8回裏、新城のタイムリーでコールドゲーム。沖縄工としてはこの大会初となる決勝進出を果たしたのだった。

敗れはしたものの、初のベスト8だけでなく、ベスト4をも勝ち取り八重農旋風を巻き起こしたナインたちの頑張りは見事。閉会式で上原昇沖縄県高校野球連盟会長が八重農の奮闘を讃えたように、僕らの脳裏に強く焼きつく部員13人の見事な戦いぶりであった。(當山)

準決勝

 1 2 3 4 5 6 7 8
八重農1 0 0 0 0 0 1 0 2
沖縄工0 4 0 0 0 0 4 1x 9
(八) 仲野、嘉弥真、鷹野−宮城
(沖) 西原、中村、前里−西村
三塁打 : 儀間、新城(沖)宮城(八)
ニ塁打 : 安里剛(沖)

沖縄県高校野球連盟が21世紀枠に宮古総実を推薦

沖縄県高校野球連盟は、来春行われる全国選抜高校野球大会の21世紀枠において、県秋季大会でベスト8進出を果たした宮古総合実業高校(以下宮古総実)を推薦した。宮古総実にとってはもちろん初めての推薦であり、その朗報に校長以下職員や父母、選手たちは喜びで溢れていたという。

離島のハンデを背負い、且つ少ない部員数で勝ち上がった8強は21世紀枠に相応しいものであろう。2001年の宜野座高校以来、県内から21世紀枠として甲子園の地を踏んだ高校は無いが、宮古総実に県内から2度目の選出の吉報が届くことを願ってやまない。(當山)

主なセンバツ21世紀枠選考基準

・秋季大会ベスト8以上(沖縄県)
・他校の模範となること
・困難条件の克服
・甲子園出場経験がない、もしくは30年以上経っているなど

2017年度21世紀枠九州各県選出校

沖縄県宮古総実(県8強)
福岡県小倉工(県4強)
佐賀県白石(県8強)
長崎県長崎東(県準優勝)
熊本県球磨工(県8強)
大分県大分西(県4位)
宮崎県高千穂(県準優勝)
鹿児島県武岡台(県4強)
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