コザ高校/那覇高校/宮古総実高校

今大会で躍進!ベスト8入りを果たした3校!

2016-10-15

第66回沖縄県高校野球秋季大会で躍進したのがコザ高校と那覇高校、そして宮古総実高校だ。コザ高校は21年振り、那覇高校も16年振り、そして宮古総実高校は前身である翔南高校や宮古水産高校を含めて初となるベスト8入りを果たした。那覇はさらにベスト4まで進出した。ナインの頑張りとOBたちの応援が後押ししたその軌跡を、取り上げる!

21年振りベスト8のコザ高校

何と言っても1、2回戦を連続完封した伊礼泰芽(たいが)と、優勝候補筆頭の沖縄尚学高校を抑えた護得久(ごえく)廉の両左腕の躍動が大きかった。

誰もが緊張する初戦のマウンドを任された伊礼は、本部打線を僅か1安打に封じると続く宜野湾戦では8安打を浴びながらも要所を締めて17イニング連続無失点と快投。

徹底的に低めを丁寧につくことで相手の空振りを誘い出しつつ、身上である打たせて取るピッチングが功奏。沖縄尚学高校戦も頭にあったが「肩の張りがある」(嘉陽監督)とのことで護得久を抜擢。「プレッシャーも怖さも無かった」という一年生の好投で難敵を撃破。

1995年以来となるベスト8を決めた。それではその3試合を振り返ってみよう。

1回戦 vs 本部高校

コザ高校は3回、2つの四球とエラーで二死満塁とする。ここで仲宗根廉と仲村宏史朗に連続タイムリーが出て3点を先制した。続く4回に押し出し四球で加点すると8回、エラーとヒット、死球で満塁。

仲村宏史朗と饒波(よは)大に連続タイムリーが生まれると照屋竣生(しゅんき)がスクイズを決めて7点。仲村宏史朗はこの日4安打4打点の大暴れ。その裏伊礼が抑えて8回コールド勝ちの快勝。

しかしこの時点で、試合の内容ではこのまま上位進出するには難しいという印象を残したままだった。

1回戦

 1 2 3 4 5 6 7 8
コザ 0 0 3 1 0 0 0 3 7
本部0 0 0 0 0 0 0 0 0
(コ) 伊礼−仲宗根
(本) 仲田−宮里
ニ塁打 : 大城大(コ)

2回戦 vs 宜野湾高校

4回まで3安打本部得点することが出来なかったコザ高校だったが5回、エラーとヒット、死球で二死満塁とする。

ここで饒波大がセンター前へ運び2点を先制した。さらにコザ高校は7回、連続四球でチャンスを掴むと犠打とスクイズを成功させ追加点。9回には絶好調の仲村宏史朗のタイムリーで4点目を奪って勝利。投げては伊礼泰芽が8安打を浴びるも生還を許さず2試合連続完封。

好投手が相手では中々チャンスは来ない。その中でしっかりと自分たちが出来ることを積み重ねられたこの試合で、沖縄尚学とも十分戦えることを示した好ゲームだった。

2回戦

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
コザ 0 0 0 0 2 0 1 0 1 4
宜野湾0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
(コ) 伊礼−仲宗根廉
(宜) 國仲−與那覇
ニ塁打 : 大城大、仲村(コ)國仲(宜)

3回戦 vs 沖縄尚学高校

仲村宏史朗の前に走者をためることが出来るかがカギだったが、初回に答えを出したコザ高校。一死から大城大空と仲宗根廉がヒットで出塁。

「育成会でやられた哲平。今度はこっちがやってやる」と、気合を入れた仲村宏史朗が期待に応えるレフトへの二塁打で2点を先制した。

4回裏、二死三塁で右打者を迎えるも「逆転の走者を出すよりは勝負」(嘉陽監督)の指示。相手の気力が上回り1点を失った護得久廉は5回にもタイムリーを浴びてしまった。

しかし6回、一死三塁のピンチで4、5番を打ち取り流れを戻すと8回表、無死一・二塁のチャンス。強攻は一直併殺となるが、照屋竣生が値千金の三塁への強襲安打。この勝ち越し点を護得久廉が守りきり私学の雄を撃破。

20年間閉ざされていた準々決勝進出の扉を開けたのだった。

3回戦

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
コザ 2 0 0 0 0 0 0 1 0 3
沖縄尚学0 0 0 1 1 0 0 0 0 2
(コ) 護得久−仲宗根廉
(沖) 河野、岡留−池間
ニ塁打 : 仲村(コ)岡留、仲与志(沖)
伊礼泰芽(コザ) 護得久廉(コザ) 仲村宏史朗(コザ)

チーム成績と主な選手の成績

チーム3試合 98打数26安打2盗塁1失策
伊礼17イニング防御率0.00被打率.153
護得久9イニング防御率1.00被打率.229
仲村12打数8安打打率.667長打率.833

16年振りベスト8の那覇高校

3試合全てに先発し19イニング連続無失点の瀬長勇太朗と、最後のイニングを締める役割を果たした東江椋佑(けいすけ)の左右二枚看板が、那覇高校16年振りベスト8の躍進を支えた。

二人が対戦した打者は延べ84人で被安打は僅か9本のみ。被打率.107は驚異の一言だ。その両輪を支えた守りも無失策と秀逸だった。打のMVPは垣花元太(かきのはな・げんた)。8番ながら9打数6安打4打点で、打率.667とチームトップの成績を残した。

それではその3試合を振り返ってみよう。

1回戦 vs 具志川高校

2回、二つの四球とヒットで満塁とするも得点することが叶わなかった那覇高校だが3回、ヒットと四球で二死一・三塁から5番照屋完太がレフト前へ運び大城龍乃助が生還した。

5回にも、二死二塁から照屋完太が再びレフト前へ弾き返すも、具志川野手陣の好系統の前にアウト。だからこそ、3回の一打は値千金でもあった。

その1点を、瀬長勇太朗が三塁を踏ませないピッチングで守りきる。9回、先頭打者にヒットを与えてしまいお役御免。後続を東江椋佑が3人で斬り接戦を制したのだった。

1回戦

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
具志川0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
那覇0 0 1 0 0 0 0 0 x 1
(具) 瀬長、東江−崎原
(那) 仲本−久野

2回戦 vs 普天間高校

2回までノーヒットだった那覇高校だが3回、津波古陸斗がライトへ運ぶ。これに相手のエラーが絡む間に三塁へ達すると大城龍乃助の犠飛で先制する。続く4回には、一死二・三塁とし相手のエラーで加点。

さらに垣花元太のバントヒットで1点を奪うと瀬長勇太朗のスクイズ、大城龍乃助のタイムリーなどで大量5点。5回には垣花元太の2点タイムリー二塁打など3点を刻み大勝。

投げては瀬長勇太朗−東江椋佑のリレーで2安打ゼロ封。投打に隙のないこのゲームで得た自信が、16年振りの扉を開けるひとつのキーでもあった。

2回戦

 1 2 3 4 5 6 7
普天間0 0 0 0 0 0 0 0
那覇0 0 1 5 3 0 x 9
(普) 玉城、香村、外間、島袋−大城、米須
(那) 瀬長、東江−崎原
ニ塁打 : 垣花(那)

3回戦 vs 浦添工業高校

瀬長勇太朗が浦添工業高校打線を相手に、5回まで一人の走者も出さないパーフェクトピッチングを披露。6回ツーアウトから9番にレフト前ヒットを許したが延べ19打者、1安打7奪三振無四球と完璧な内容だった。

打線は1回、二死二塁から4番崎原泰成(たいせい)のタイムリーで先制。2回には垣花元太が右中間へ運ぶ二塁打で2点を加えると、4回には下位の3連続長短打で2点を奪うなどリードを広げた。

7回には三塁打を放った大城龍乃助を、3番宜保優(ゆう)が返すコールドタイムリー。15年間閉ざされていたベスト8の扉を、投打で圧倒する力強い野球で開いたのだった。

3回戦

 1 2 3 4 5 6 7 8
浦添工0 0 0 0 0 0 0 0 0
那覇1 1 0 3 0 0 1 1 7
(浦) 親富祖−兼島
(那) 瀬長、東江−崎原
三塁打 : 津波古、大城(那)
ニ塁打 : 垣花(那)
瀬長勇太朗(那覇) 大城龍乃助(那覇)

チーム成績と主な選手の成績

チーム3試合79打数28安打2盗塁0失策
瀬長19イニング防御率0.00被打率.119
東江5イニング防御率0.00被打率.059
垣花9打数6安打 打率.667長打率.778
大城11打数5安打 打率.455長打率636

初のベスト8進出を果たした宮古総実高校

紐解けば2年前、部員10人で沖縄尚学高校を破った奇跡が今の強い宮古総実高校を作り出した(沖縄県高校野球連盟関係者談)。去った新人中央大会では23年間連続出場していた宮古高校を破り初出場。

初戦の那覇高校戦を13対11で破り8強となった力を、この秋でも存分に発揮して、大会初となるベスト8進出。

1点を守り抜く精神力の強さも披露しての、堂々たる躍進だった宮古総実高校の3試合を振り返ってみよう。

1回戦 vs 沖縄工業高校

先制された宮古総実高校は4回、3番下里杏太(きょうた)と濱川真輔(しんすけ)の連続ヒットでチャンスを掴むと6番友利由貴也(ゆきや)がセンター前へ運ぶ。ここで相手のエラーが絡む間に二人がかえり一気に逆転した。

5回にも濱川真輔のタイムリーが生まれ優位に立ったが、終盤追いつかれてしまう。

流れを戻したのは濱川真輔と友利由貴也。10回に二人の安打で決勝点を奪うとその裏、エース下地翔登(しょうと)が三者凡退に斬って辛勝ながらも、延長を制した自信が後のはゲームでも生きてきたナイスゲームであった。

1回戦

 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
宮古総実0 0 0 2 1 0 0 0 0 1 4
沖縄工1 0 0 0 0 0 0 1 1 0 3
(宮) 下地−濱川
(沖) 比嘉−西村
ニ塁打 : 濱川、友利(宮)赤嶺(沖)

2回戦 vs 真和志高校

2回、3つの四死球でチャンスを掴んだ宮古総実高校は内野ゴロ友利相手のエラーの間に2点を先制。6回には一死二塁から仲宗根純平のライト前タイムリーが生まれる。この大会絶好調の仲宗根純平は8回表にも二死三塁からタイムリーを放つ。

下地翔登は7回、3安打を集められ1点を返されると8回裏にも1点を失ってしまうものの、リードを保つ粘投。9回には一死一・二塁とされたが、レフトライナーとセンターフライに斬り2年振りとなるベスト16入り。

初戦に続く1点差ゲームを制した精神力が、続く3回戦でも随所に見られることとなる好ゲームだった。

2回戦

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
宮古総実0 2 0 0 0 1 0 1 0 4
真和志0 1 0 0 0 0 1 1 0 3
(宮) 下地−濱川
(真) 當山、池山、大嶺−津波
ニ塁打 : 安里孔(真)

3回戦 vs 首里東高校

1回表、一死一・二塁からセカンドゴロに打ち取ったものの、併殺間の送球ミスから1点を失った宮古総実高校。打線も3回まで三者凡退で苦しい立ち上がりとなったが4回、二死一塁から死球と内野安打で満塁。ここで友利由貴也が慎重に押し出し四球を選び同点に追い付いた。

拮抗した中盤戦を終えた7回裏、一死から5つの四死球と相手のエラーに下位打線の連打などなんと打者12人を送った宮古総実高校。あれよあれよと得点を重ね、最後は米濱相憂喜(よねはま・あゆき)のコールドタイムリーでゲームセット。

投げては下地翔登が、被安打2本とこれまでとは別人のような素晴らしいピッチングを披露。前身である翔南高校を含めて秋季大会初のベスト8の快挙を達成したのだった。

3回戦

 1 2 3 4 5 6 7
首里東1 0 0 0 0 0 0 1
宮古総実0 0 0 1 0 0 7x 8
(首) 又吉、伊佐−與那嶺
(宮) 下地−濱川
宮古総実 下地翔登(宮古総実) 濱川真輔(宮古総実)

チーム成績と主な選手の成績

チーム3試合90打数21安打1盗塁6失策
下地26イニング防御率1.38被打率.207
仲宗根11打数6安打 打率.545長打率.545
友利6打数3安打 打率.500長打率667
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大会結果:コザ高校/那覇高校/宮古総実高校 トップに戻る