初優勝おめでとう！嘉手納高校野球部

2016-08-15

こんなはずじゃなかった新人中央大会

「明らかに油断していました」（大石主将）。一年生中央大会で優勝しているオレら。この世代になったら負けないとの自負が地区予選で発揮。全8試合に勝利し44得点を生んだが、新人中央大会では空回りした。

豊見城南に1点差敗退。こんなはずじゃない！秋にリベンジしてやる！そう誓ったナインは、連合チームを下すと2回戦では石川にもコールド勝ち。美来工科、八重山商工とのゲームも制したが興南に惜敗してしまう。

「この負けが彼らのひとつのターニングポイントとなったんじゃないかな」（大蔵監督）。あと一つ勝てば九州大会だったが負けた。選抜の夢も断たれた嘉手納。

「日頃の生活が正しく出来ないから、ボール球に手を出さないという約束を守れず、手を出して負けてしまう」（大石主将）ことで、学校周りの清掃活動や授業態度などキチンとしようとみんなで取り決めた。

さらに試練が訪れた春

練習試合解禁日。嘉手納は県外の強豪校の胸を積極的に借りた。秋の県覇者である八重山とも1点差ゲームとはいえ勝つことが出来た。

徐々に実を結びつつある中、県高校野球春季大会に入る。それが宜野座との1点差を制する好スタートにも繋がった。

沖縄工にコールド勝ち、南部工にも快勝して臨んだ準々決勝だったが、豊見城の前に完敗。

仲地玖礼、大石哲汰、大城堅斗の中軸3人がケガや故障で満足な試合が出来ないそのショックは尾を引き、翌日の九里学園との試合でも精彩が見らないままだった。

中部地区高校野球選手権大会では決勝まで進むも、中軸3人が万全ではない中で勝てるような美里工ではなかった。

立ち止まっている暇はない！怒涛の22試合で確信を持つ

中部地区高校野球選手権大会以降、嘉手納は最後の夏へ向けて無我夢中で突っ走る。

全国高校野球選手権沖縄大会1回戦を挟む述べ22試合を行い18勝4敗、勝率8割を超える好成績を残して2回戦以降の同大会に挑んだ。

これだけやったのだ。あとはこれを試合で出して自分たちの野球をやるだけ。そう思う気持ちがあったことだろう。

思えば県一年生中央大会で優勝したが、それ以降はベスト4、ベスト8の下り坂。だからこそ、もう一度やってやる！糸満、八重山、八重山商工、興南、豊見城南と一緒になったスーパー激戦区のＡブロックに入っても、彼らは変わらなかった。

中部地区高校野球選手権大会まで満足に動けなかった3人が万全で臨める。それが心の支えにもなっていただろう。そうして挑んだ嘉手納高校の最後の夏。嘉手納ナインは、激戦区を勝ち抜き甲子園への切符を手にした。

第98回全国高校野球選手権沖縄大会・嘉手納の軌跡

1回戦

初戦の具志川商戦で嘉手納は初回、幸地と仲井間の連続長打を皮切りに2点を奪ったがその後は2安打のまま。しかし終盤、6つの四死球と5安打を集めて突き放し8回コールド勝利を収めた。

2回戦

続く2回戦の北中城との試合では3回までに仲井間の三塁打のみと苦しむ。しかし4回、新垣和哉にタイムリーが生まれると6回、仲地玖礼にホームランが飛び出す。7回にも大石哲汰の犠牲フライで着実に点を奪い、8回には打者14人を送る猛攻で大量8点でコールド勝利。

3回戦

「これが最初の山場」（大石主将）の興南との3回戦。比屋根に打線が苦しめられるも仲地が互角の投げ合いを見せる。8回裏1点を失い崖っ淵の9回表、エラーで出塁した走者を一塁に置いて知花拓哉がレフトオーバーの二塁打。代走松田が生還して同点とすると二死から元4番の大城堅斗がライト前へ運び逆転。最後も仲地玖礼が締めて、秋の準決勝で敗れた最大のライバルに勝利した。

準々決勝

「ここに勝てば甲子園が見えてくる」（仲地）正念場となった八重山商工戦。闘将伊志嶺吉盛監督最後の夏ということで、八重山商工もこれまでにない雰囲気の中、黒島との投手戦に仲地玖礼も一歩も引かない熱投。

8回、エラーで先制するもその裏、一死一・二塁で強打者平良海馬を迎える。「この大会で最高の一球だった」（仲地）

ボールで三振を奪うも、4番仲嵩にタイムリーを浴び試合は延長へ。11回、ヒットとエラー、パスボールで三塁へ進むと大城堅斗の中内野安打タイムリーで勝ち越し。最後、平良海馬にヒットを許すも後続の3人をピシャリと斬った仲地が完投。熱戦に終止符を打った。

準決勝

嘉手納は2回、大城堅斗のタイムリーで先制すると3回には知花拓哉に2ランホームランが生まれ好投手赤嶺から3点を奪取。投げては仲地玖礼が8回までに6奪三振無死球ピッチングを披露。野手陣もノーエラーと盛り立ててファイナル進出を決めた。

決勝

中部地区高校野球選手権大会決勝の再現となった美里工との一戦。「低めを振らず且つ待球作戦。そして走らされて少し狂った」（仲地）序盤に2点を失う。

しかし嘉手納はその裏、3番から5打者連続長短打を集める打者一巡の猛攻で大量6点を奪い逆転する。

そして4回、「相手が追加点を挙げて流れが向こうに行きかけていたのを肌で感じて。二死無走者でもあったので、流れをこっちに持ってくるためにも狙った」（大石）高々と上がった大石哲汰の打球がレフトスタンドに入るソロアーチ。

その後も8回に大城堅斗のダメ押し3ランホームランが飛び出す。終わってみれば16安打11得点。投げては仲地が「セットにしてスムーズになった」という3回以降をゼロに抑える熱投。

「相手が変化球を狙っていると感じたのでストレート主体に。待球作戦ならばと早めに追い込むように配球を変えた」（仲地）ことで的を絞らせず完投。

「最後は無我夢中」（仲地）の心境の中、気迫の真ん中のボールで三振に斬って歓喜の初優勝を成し遂げた。

※ＭＶＰ選手は、おきなわ野球大好きの選出

初の夏の甲子園にチャレンジ

チバリヨー！嘉手納ナイン！

8月7日に開幕する第98回全国高校野球選手権大会。読者の皆さんが、この雑誌を手にする時には嘉手納の一回戦が終わり二回戦へ。。。というタイミングかもしれない。是非とも嘉手納高校初となる甲子園白星を飾って、波に乗って欲しいと願う。やんちゃな子たちが憧れの聖地で魅せる伸び伸びプレーを、テレビでそして現地で。精一杯応援しよう。チバリヨー！嘉手納ナイン！（當山）