地域に愛される野球部を目指す!
沖縄県立南風原中学校野球部
2016-06-15
失礼を承知で言わせて頂けると、いったいどれほどのチームが、心を尽くして清掃活動に取り組んでいるだろうか。
周りがやっているから、先輩らがやってきたから。例えそんな思いで活動をしたとしても、結果として周囲が綺麗になっているのだから尊い活動に違いは無い。
だが、今回紹介する南風原中学校の野球部からは、そんな思いが感じられないのだ。
「どこまで行っているのやら。」と、山城祥太朗先生も感心を通り越すほど。彼らの朝の美化活動範囲は、単に学校の周りだけでなく、自分たちの考えで距離を伸ばしては、袋いっぱいにゴミを詰め込んで帰ってくるのだ。
そんな野球部を地域の方々が愛さないわけがない。時にはサーターアンダギーの差し入れやオードブルといった、「いつもありがとう」の気持ちが届く。
彼らの通ったあとには、雑草のかけらさえも残らない。あるのは達成感に浸る彼らの笑顔だけなのだ。それはグラウンドでも同じ。
南風原中学校野球部には朝の朝礼なるものがある。「おはようございます。今日は何かひとつ、人のためになることをしたいと思います。」(その後皆が拍手)「そうだ!人のためになることを進んでやれ!」(同じく拍手)といった具合に、一人が宣誓すると隣人がその思いにハッパを掛ける。それがまた、実に楽しそうに行うのだ。
「でも初めは朝活も20分ほど。来る人来ない人とバラバラでした。」と、平良勘人主将は振り返った。
自分らの代になったときに考えた。大勢でガヤガヤしながら移動するから身に入らない。だったら4名ほどのグループを作って散らせばいいじゃないか。そして朝活を休む部員も減っていき、全員が喜んで参加するようになった。
バラバラだった思いに一体感が生まれると、試合内容も変わってきた。
「例えば走者が出るとベンチも打者も含めた全員が、同じ考えを共有し声を出し合うようになってきました」(平良主将)。走者が次の塁へ進みやすいように打者が考えれば、走者は走者で、相手投手の気をこっちに持って来させて打者に集中させないようにする。
その結果のひとつが春季県大会を兼ねた海邦銀行杯予選。3位枠を勝ち取り、同校としては久しぶりの県大会出場を決めたのだった。
球のキレが抜群でマウンド捌きに優れる永山和輝と長身を活かした又吉航瑶の両サウスポーを中心に守りを固めつつ、チーム一の俊足である神谷悠斗を筆頭に足を活かした攻撃を展開する南風原中学校。
「県、九州、全国。一日でも長く、このメンバーと野球が出来るように頑張ります!」と宣言してくれた平良主将。
世界一の朝礼と朝活を目標に掲げてきた彼らは、心と行動が変化することで、グラウンドでのプレーも進化してきた。
さらに、日頃の活動を見守ってきた地域の方々の応援はもちろん、チームのためにとサポート役を懸命に務め、みんなから愛される田島圭くんの強力なバックアップがナインを支える。
あとは最後の夏、愛のこもった実りの野球を開花させるだけだ。(當山)
TEAM DATA FILE
創部 | 68年(1948年創部) |
監督 | 山本祥太朗 |
部長 | 中山邦彦 |
顧問 | 山城天真 |
副顧問 | 津波古要 |
部員数 | 3年24名、2年12名、1年15名 |
練習日 | ほぼ毎日 |
練習場所 | 南風原中学校G |
チームのモットー | Enjoy BaseBall、思いやり |