記念すべき第1回大会の栄冠は、前田ホークスの頭上に
第1回トロピカル沖縄交流学童軟式野球大会
2015-08-15
決勝
前田ホークスvs 宮城ドリームス
「実はウチは打てるチームではないのです」と、石川義彦監督は語る。
まさかそんな!と思わずにはいられないほど、今大会のホークス打線はここまで4試合38得点と活発を極めた。そしてその集大成が、文字通りこの決勝戦でもあった。
1回裏、二死二塁からドリームス山内秀陛にレフトへ運ばれるタイムリー二塁打で先制された前 ホークスだったが3回、頼りになる石川倫のセンター方向へのホームランで同点とすると、5回には「5年生ながら上級生にも劣らない」(石川監督)2番与那嶺拓真が、エンドランを決めて逆転に成功した。
ドリームスも3回に一死二・三塁とするが、2番手としてマウンドに上った大城開聖の重いストレートの前にどうしても得点することが出来ない。
そして迎えた最終7回、ホークスは2本のヒットで石川に繋ぐが、ここはドリームスバッテリーが敬遠策と、ホークスベンチは次打者の与那嶺に「敬遠されて悔しくないか?思い切り行ってこい!」と助言。
これに燃えた与那嶺のバットから、前進守備をひかざるを得ないドリームス内野陣の間を抜くタイムリーが生まれた。そして続く中原大地が走者一掃となるレフト越え満塁弾を放ち、熱戦に終止符をうった。
決勝
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
前田ホークス | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 5 | 7 |
宮城ドリームス | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
準決勝
前田ホークスvs 西原東BBC
ここまで3試合36得点の前田ホークスと、同じく4試合33得点の西原東BBCの戦いはしかし、緊張感あふれる投手戦となった。
前田ホークス石川倫が、絶妙の制球力と抜群の牽制で西原東BBCを手玉にとると、西原東BBC銘苅望空斗も4回を終えて被安打僅か1本のみ。
だが6回、前田ホークスは石川がレフトへの三塁打を放つと西原東BBCベンチはサイドハンド今井琉雄にスイッチ。
だが、前田ホークス中原大地にレフト越えのタイムリー三塁打が生まれると、4番屋宜優大がエンドランを決めて貴重な2点目を刻んだ。
西原東BBCもその裏、連続ヒットと犠打で一死二・三塁と石川を攻め立てたが浅い中飛と三振に斬られるなど、最後まで石川を崩すことが出来ず惜敗してしまった。
準決勝
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
前田ホークス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 |
西原東BBC | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
準決勝
宮城ドリームス vs 中城マリナーズ
ここまで平均得点6の宮城ドリームスと、平均失点2の中城マリナーズとの戦いは、マリナーズ野手陣の重なってしまったエラーがそのまま勝敗を分けた。
初回、ドリームスは宜寿次大成の二塁打などで一死二・三塁とすると山内秀陛の打球が内野を抜ける間に、二塁走者までもが生還し2点を先制。
続く2回にも無死一・三塁とプレッシャーを掛けると、マリナーズ野手陣のワイルドピッチや犠打悪送球などで点を加え、さらに満塁からエンドランを成功させるなどヒット数僅か2本で6得点をボードに刻んだ。追うマリナーズも4回裏、一死満塁から屋比久未樹がスクイズを成功させるなど小刻みに点を重ねるなど、ドリームスの5安打に対し8安打を放ったが、序盤の失点が余りにも大きかった。
準決勝
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
宮城ドリームス | 2 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
中城マリナーズ | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
大会総評
「浦添市生誕45周年を祝して企画された今大会、他チームとの交流を図り、仲間を大切にすることや人を思い遣ることを学んで欲しい」と、松本哲治浦添市長が開会式で挨拶したように、ゲームを通して相手チームの技や集中力をその目にして自らに取り入れたり、1日には、宜野湾トロピカルビーチにて行われたウェルカムパーティーで若宮スターズ(福岡県)らを招き、バーベキューに舌鼓をうち、浜辺にてスイカ割りを楽しむなど、見ていて実に微笑ましい場面場面に出会った。
ともすれば、勝利ありきが当たり前となっている昨今の学童軟式野球界だが、基本は小学生の子どもたちに「野球って楽しい!」と思ってもらえることが大切なことだと感じる。
これは高校野球に携わる監督や部長を務める先生方の願いでもあるのだ。3回戦までのスコアを見ると29対0や16対0という試合が見えるが、「負けても最後まで支え合った仲間」や、「負けから学べること」など、強い弱いという概念を越えた、そんなひとつの意義を投げかける新しい可能性を秘めた交流大会となっていくのかも知れない。
子供達を怒鳴らず、常に勇気を与え続ける励ましの言葉を送り続けた前田ホークスベンチとその期待に応えたナインが、記念すべき第1回大会を制したのも偶然ではないような気がした。