正に大混戦だった2016年の沖縄の夏を征したのは、嘉手納高校でした。

第98回全国高等学校野球選手権大会観戦記

2016-09-15

 春季大会の結果から、シード校はありましたが、優勝候補は下馬評に上がっては消える状況。絶対的な優勝候補が存在しないことは誰の目にも明らか。と、言うことは、参加したどの高校にも、甲子園へ行ける可能性が、例年に比べて圧倒的に高く感じ、その気持ちの高揚が、いつも以上の素晴らしい接戦や結果を招きました。

 沖縄県大会で優勝を決め、甲子園への切符を手にした嘉手納の大石主将は、「沖縄の野球のレベルの高さを全国に伝えたい。」と言っていました。やさ!沖縄の野球が高品質であることは、全国の野球好きならば、た~でも知っていますが、その予想の更に上の野球を示し、驚かせてやりましょう。

2010年の春、諸君達の先輩が初めて足を踏み入れた甲子園。やしが、その時は勝利の校歌を歌うことは叶いませんでした。今度こそ、歌うよ~。して、勝って勝って、勝ちまくるよ~!

8月11日

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
嘉手納0 0 1 0 0 0 8 1 0 10
前橋育英0 0 2 0 1 0 0 0 0 3
(嘉) 仲地,仲井間-知花
(前) 佐藤,吉沢,皆川,丸山-森田

 前橋育英は3年前、現西武の高橋を擁し、初出場初優勝を飾った高校です。今年は、ドラフトの目玉と言われるようなズバ抜けた選手はいないものの、選手た~は走攻守のそれぞれで、極めて高い水準を誇っています。このため、下馬評では嘉手納は不利と言われていました。  

やしがよ、沖縄県大会でもそうだったってば。して、それらをことごとく覆してから、ここにやって来た彼らには、そんな下馬評等屁でも無い、いや、却ってやる気が上昇すると言うものやっさ~。6年前、諸君た~の先輩を応援したのが3塁側アルプス。して、今回は1塁側アルプス。両アルプスで、嘉手納の雄姿は拝めたさいが。後は、勝利に立ち会うのみ!

 嘉手納は初回表、3番大石が右中間安打で出塁するも無得点。  

その裏、仲地は四球を1つ与えたものの無得点に抑えると、2回は両校共仲良く3者凡退。前橋育英の先発佐藤も丁寧な投球で、投手戦の様相を呈していた3回、嘉手納は先頭の8番左翼大城が、左翼線へ2塁打。続く新垣がきっちり送って、ハイサイおじさんが鳴り響く中、1番幸地が左前にはじき返し1点先制。2死後、大石がスタスタと1塁に歩く。

あり?ぬ~しよった?打撃妨害ってよ!捕手の森田のミットがバットに当たってしまったんだね~。続く4番知花が1・2塁間を破って2死満塁。

ん~、前進守備の右翼ではあったものの、2死でしたので、突っ込ませる選択枝があったかな~。何とか1点で凌いだ前橋育英は先頭の浅見が左前に運ぶと、仲井間の前で球がイレギュラーし、後逸。更に、中継も乱れ、無死3塁。

更にその後、前橋育英は3本の安打を連ね牽制悪送球もあり逆転。やしが、逆転はしたものの、盗塁阻止と三振で、嘉手納は何とか2点で凌ぎました。

4回、嘉手納は仲地が四球出塁するも、併殺で無得点。その裏、前橋育英は先頭の丸山が右翼線2塁打で出塁し、その後3塁まで無得点。

5回、先頭の9番新垣は変化球をすぐい上げて左前安打。1番幸地が送り、仲井間は1・2塁間を破る当たり。右翼が球の処理をもたついてから、「同点だ~!」と叫ぶものの、新垣は3塁で止まる。ん~、慎重だなぁ。

続く大石の高い3塁ゴロは.上手い守備で新垣本塁タッチアウト。嫌な流れを前橋育英は見逃さず、安打と犠打を絡め、1点追加。

更に、4番小川が中越の当たりを放つ。「やられた!」1塁アルプスのた~もがそう思った中、中堅の幸地は小川が3塁に向かうのを見ると、遊撃の古謝を中継し、見事な送球で、1塁走者の飯島が生還する前に、小川を3塁でタッチアウトに切って取り、1点で凌ぎました。

よし!これで流れが変わったハズ!そう思ったんだのに、5回終了で球場整備となってしまいました。

野球に「たら」「れば」は無意味。やしが、「たら」「れば」程面白い議論は無いやっさ~。ここで球場整備が無く、そのまま嘉手納の攻撃となっていたら、きっと打線は爆発していたんだハズね。

6回、流れは止まってしまったのか、嘉手納は仲地が安打で出塁するも無得点。その裏、仲地は死球を1つ与えるものの、3名で終わらす。

そして7回、嘉手納は先頭の9番新垣が3・遊間深い所への内野安打。続く幸地のバントを前橋育英の佐藤が内野安打にしてしまう。結果論ですが、筆者はこの内野安打が、流れを変えた1打だと思います。

続く仲井間は、投手を越える所へ落とすプッシュバントで無死満塁。大石四球で押し出し。4番知花は3塁強襲で左前まで運び、2者帰って4-3と逆転。ここで、前橋育英は2番手吉沢に交替。

5番比嘉、真芯で捉えた当たりは、遊直で重殺。惜しい!やしが、ここで終わらないのが嘉手納。続く古謝は左中間安打。仲地は3・遊間で再度満塁。大城1・2塁間で5-3。

うむむ。2死なのに2塁走者はまた3塁止まり。固いな~。続く新垣右前安打で6-3。吉沢、球は速いものの、嘉手納は沖縄県大会で、もっと速い投手を打ち崩しているからよ。

幸地の当たりは、左翼フェンス直撃、走者一掃の2塁打。9-3。

ここで、前橋育英は3番手皆川を出し、ようやく嘉手納の攻撃終了。

いや~、凄まじい嘉手納打線の破壊力です。アルプススタンドも大爆発。その裏、仲地は四球と死球を先頭打者から連続して与えたものの無得点。

8回、嘉手納は大石、知花の連続四球で出塁し、1死後、古謝の左前にポトリと落ちる安打で満塁。

2死後、大城の当たりは遊撃の失策を誘い1点追加。やしが、知花は本塁憤死。その裏、前橋育英は安打を1本放つものの無得点。

最終回、嘉手納は2本の安打と四球で2死満塁とするものの無得点。その裏、嘉手納は2番手仲井間を投入。

うむむ、3回戦で継投の際に、その切れ味鋭い速球で相手をどぅまんぎさせることも可能でしたが、甲子園のマウンドを経験させることも大事だハズ。点差もありますし、ここは良い試運転だったと思います。

その仲井間、1死から、代打島崎に右前に運ばれましたが、続く2者を連続三振に切って取り、嘉手納待望の甲子園初勝利を飾りました。

 嘉手納打線の集中打は、知っていましたし、期待はしていましたが、それを上回る凄まじい破壊力でした。守備も安定しており、これで走塁が型にはまれば、優勝に向かってまっしぐらだハズ。

8月16日

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
明徳義塾0 0 1 3 1 5 0 3 0 13
嘉手納0 0 0 0 0 0 1 4 0 5
(明) 中野,林田,金津-古賀
(嘉) 仲地,大城,仲井間,渡慶次-知花
本塁打 : 西浦(明)

 初戦が8月11日で、2戦めが16日。去年の興南と同じです。興南と同じく、2戦めも勝つよ~。

 明徳義塾は初回表、安打と2つの四球で2死満塁と攻めるものの、何とか仲地が踏ん張り無得点。その裏、嘉手納は1死後、仲井間が中前安打で出塁すると、大石の1・2塁間の当たりでヒット&ランが決まり、1死1・3塁。  

やしが、4番知花が併殺で無得点。ん~、両校共好機を得点に結びつけられませんでした。2回は両校共仲良く3者凡退。3回、明徳義塾は安打と捕逸で1死2塁とし、中飛で3進。続く脇屋の2ゴロを新垣がはじき(イレギュラーっぽかったけどね~。)明徳義塾1点先制。盗塁を知花が刺し、1点で凌ぐ。

その裏、嘉手納は先頭の9番新垣が四球。幸地が送って1死2塁。2死後、大石が四球を選び、2死1・2塁。ここで新垣が3塁に盗塁を試みると、捕手が悪送球。新垣が本塁に突入するも、左翼からの上手い返球で本塁タッチアウト。

惜しい!やしが、積極的な走塁は良いハズよ。

4回、明徳義塾は4安打を集中させ、3点追加で、0-4。

難しい所に上手く投げ、詰まらせているのですが、打球はことごとく野手の間を抜きます。これが技術か、流れなのか?その裏、嘉手納は3者凡退。

5回、明徳義塾は先頭の西浦が左中間を破るものの、3塁を狙ってタッチアウト。2死後、5番古賀,6番大北の連続2塁打で1点追加、0-5。

2死2塁で仲地降板。2番手は大城。やしが、2塁打3本で1点に抑えたのだから、上等!その裏、嘉手納はまたしても3者凡退。

6回、制球が定まらないと見るや、嘉手納は四球と安打で無死1・3塁となった所で、3番手仲井間を投入。急遽だったからか、仲井間も制球が定まらず、四球で無死満塁。続く2番西村が1塁を強襲し、0-6。

続く西浦は、1-0からの低めの直球を中越満塁本塁打、0-10。

ようやく変化球の制球は定まって来た仲井間は、何とかこの回5点で抑える。

その裏、嘉手納は3者凡退。7回、明徳義塾は3者凡退。その裏、明徳義塾は2番手林田を投入。嘉手納は先頭の知花が四球で出塁し、1死後に古謝が中越2塁打で2・3塁とし、村浜の遊ゴロの間に知花が生還し、1-10。

続く8番大城の当たりは、右翼寺西の素晴らしい守備でアウト。

8回、明徳義塾は四球と3安打を絡め、3点追加、1-13。

その裏、ついに嘉手納打線爆発!先頭の9番新垣、幸地、仲井間、大石の4連続安打。ここで明徳義塾は3番手金津を投入。やしが嘉手納は、続く知花、比嘉と連打し、5-13。

スタンドも爆発!続く古謝の当たりは、とっても良い当たりでしたが、遊直で重殺。続く村浜も倒れ、この回4点で終了。

最終回、嘉手納は4番手渡慶次を投入。2安打は放たれたものの、併殺で凌ぎ無得点に抑える。その裏、嘉手納は金津気迫の投球に、3者凡退で抑えられ試合終了。

 点差はありましたが、上手さに負けたと言う印象でした。特に、先発の仲地は、変化球の切れも制球も抜群でしたが、それを上手く安打にする技術。  

それは、だげき技術だけで無く、走者を出した場合は、内野を走者に引きつけることによって、本来の守備位置ならば真正面の当たりが、外野に抜けることになったと言う場面が多々あったと思います。思えば6年前の夏、そんな明徳義塾を力で圧倒しねじ伏せた興南でしたが、基本的な戦術は変わらないものの、より連携が上手くなったと言う印象でした。

 今回、2回めの甲子園登場となった嘉手納ですが、前回と比べて、非常に大きな変化がありました。

それは、内地の各報道機関において、です。2010年の春には、「かでな」の「か」を強く発音する、誤った報道機関ばかりでしたが、今回は正しく、「な」を強く発音する報道機関が飛躍的に増えました。

彼らは、話すことによって、対価を得ている訳ですから、正しい発音をすること、それには、事前に調査確認することが義務です。にも関わらず、前回はそれを怠っており、筆者はわじわじ~して聞いていました。

やしが今回は、内地の各報道機関の放送を見聞きしていても、安心して、楽しく聞くことができました。今回の嘉手納効果で、筆者が1番嬉しかった点です。

無論、初めて甲子園で流れた勝利の校歌も嬉しかったのですが、今後嘉手納が甲子園の常連になり、勝利を重ねることによって、沖縄への理解と正しい報道が増えるであろうことを見ることができました。

嘉手納高校野球部の諸君、君たちの躍進は、全国に沖縄への理解を深めると言う、歴史的にも非常に大きな功績です。

将来、皆に胸を張って誇ってくださいね。そして、次の出場の際には、校名だけで無く、各選手の苗字も正しく発音してくれることを期待します。

 嘉手納の諸君の集中打と笑顔は、辛い時、苦しい時に思い出すことによって、「あっららがま!(何くそ!)」の気持ちを更に加速させてくれる宝物になりました。

そして、礼儀正しく誠実な対応も、我々年長者は手本にすべきことだと思います。沢山の贈り物をもらいました。たんでぃが~たんでぃ~。

いつか、嘉手納高校のユニフォームの「KADENA」の文字と同じ色の夏の優勝旗を嘉手納に持って帰ることができる日が来ることを期待します。

わいど~、嘉手納高校!

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