カギを握るのは興南比屋根雅也!

第63回沖縄県高校野球春季大会の展望

2016-03-15

第63回沖縄県高校野球春季大会の抽選会が2月23日、北中城公民館にて行われ参加61校の抽選番号が決まった。秋の優勝校八重山高校と準優勝校興南高校を中心に繰り広げられる球"春"の行方を探ってみた。

Aブロックの展望

多くの先生方や関係者が「一番の激戦区」と語るのがこのAブロックだ。

その中でも好カードなのが宮古対前原と、コザ対美里工だ。

宮古のエース下地一平は、秋の初戦で試合巧者の首里高校を相手に3自責点と好投。打線もクリーンアップの3人で7安打を集めるなど旧チームに引けを取らない力を持つ。昨年果たせなかった優勝の二文字を手に入れるためにも、この初戦で波に乗りたい。

対する秋のベスト8前原は、山根蓮太、高江洲翔、平良竜哉の分厚い投手陣が自慢。とはいえ高江洲と平良は打線の上位も兼ねており、野手として出場しての集中力を考慮する意味でも、左腕山根の出来が試合を左右するか。

4番を務める仲村大樹のバットが火を吹けば、秋以上の成績も十分可能だ。

その勝者と対戦するのが秋の王者八重山。2年前の一年生中央大会で投げた新里光平に代わり、昨年の新人中央大会で結果を残した仲山琉斗がエースを奪取。

その仲山は秋、31イニングを投げて奪三振が3つ。これまでの優勝投手の常識を覆すかのような、打たせて取るピッチングで相手打者を翻弄してきたが、逆にバットに運ばれた分、防御率は2.03となっている。

冬を越してパワーアップしているであろう各校の打者に捉えられるのか?秋同様に仲山が抑えるのかも見どころ。

その八重山でもキーマンとなるのは黒島投真。秋は4番として打率.588とチームトップの成績。投げてはプレッシャーのかかるゲーム終盤を、見事に迎える技量とハートの強さを備えるミスター八重山が普段通りの力を発揮することで、チームの秋春二冠がグンと近づく。

その八重山の、永遠のライバルである八重山商工もこのブロックに入った。旧チームから正捕手を務める前粟蔵知弘が黒島志門ら投手陣を引っ張り、秋の準々決勝では嘉手納を相手に延長10回と粘り強さを見せた。安里郁哉、仲嵩勇雅、森田虎之介の打率5割トリオを中軸に据える打線は、八重山を凌ぐ威力だ。

去った高校野球部対抗競技会にて100mと塁間走の二冠を獲得した、沖縄のスピードスター金城愛也がリードオフマンを務めるコザ。

旧チームと比べても遜色ない攻撃力があり且つ、一年生中央大会でベスト4入りしたセンス溢れる仲村宏史朗を中心とした松堂、比嘉、仲宗根、照屋の一年生カルテットも元気だ。

対する美里工は秋の初戦で八重山商工に完敗。だが、不運なジャッジで出鼻を挫かれたところもあった。実際放ったヒットは12本と多く、上原彪雅や、大田浩二など力を有する選手も多い。

そんな両軍だが、その攻撃力に対して不安があるとすれば投手陣か。冬を越して一本立ちしたピッチャーが現れるのかどうかも注目の的だろう。

名護、具志川、そして秋の初戦で沖縄尚学を衝撃的なコールドで下した秋の16強美来工科も、虎視眈眈と上位進出を狙う(當山)。

Bブロックの展望

抽選会場がどよめいたのも無理は無い。シードとして抽選を先に終えていた嘉手納の隣を、宜野座が引いたのだ。まずはこの一回戦屈指の好カードから見てみよう。

右投手には珍しくクロスステップで打者に放るのが玉城楓。内と外に投げ分ける投球術に加え、制球力もあり打たせて取るピッチングが身上だ。

対照的に豪快なマウンド捌きを見せるのが内間拓馬。秋は防御率1.02と成長を見せ、玉城よりも多いイニングを任された。

特徴の違うダブルエースで強力な嘉手納打線に立ち向かう。

チーム打率.336の打線は、上位から下位まで見事に繋がる。その中でも注目はチームトップの打率.583と5盗塁をマークした岸本恭里。秋と同じ6番に座るか上位に来るのか?名采配を見せる仲間大樹監督の判断にも注目だ。

対する嘉手納にも新たな光が見えている。一年生の夏からエースとして投げ続けてきた仲地玖礼は、秋の防御率が1.38と相変わらず安定感を見せたものの、蓄積しているだろう疲労感が心配でもあった。

そこに9イニングながら防御率ゼロと満点回答を出したのが仲井間光亮。野球部対抗競技会でも遠投で1位に輝いた未知なるサウスポーは、他校にとって十分脅威となろう。7人が打率3割以上で、チーム打率.371をマークした打線は文句無しに県ナンバーワン。加えて気持ちのムラっ気も排除しつつあるこのチームこそ、春の頂点に一番近いのかも知れない。

秋の16強である西原の注目は秋、18イニングを投げて20奪三振をマークした川満樹生。同じく16強の小禄は秋、12イニングを投げて1自責点の前武當一斗とそれぞれに柱が存在する 、そして昨年春の4位豊見城には、昨春29を回以上を投げて防御率1.23の翁長宏和、潜在能力の高さを持つ左腕宮海翔、一年生中央大会で4強入りする原動力となった金城良太郎がおり、投手陣の厚みでは一歩先を行く。

普天間対那覇国際の、秋の一回戦の再現も興味深いところだ(當山)。

Ⅽブロックの展望

秋季準Ⅴで春季大会連覇を狙う興南。

絶対的エース比屋根雅也が九州大会屈辱のKO敗戦から悔しさをバネにどれだけ成長したか注目したい。各校「打倒比屋根」で一冬対策を練ってきている中、最強左腕がどう跳ね返すか。興南投手陣は他にも左腕長濱成悟や川満大翔、大型右腕慶留間大智らが控え層は厚い。

打線も具志堅大輝を中心に上位下位と切れ目なく、一冬越えたそのレベルアップに注目したい。

糸満は、昨春選抜を経験したエース平安常輝と、秋の前原戦で本塁打を放った大城翔太郎がチームの柱。投打の主役が本来の力を発揮すれば十分優勝が狙える。陽明は先取点を取り競り合いに持ち込みたい。

打撃力のある知念と秋季興南を苦しめた豊見城南は初戦を流れ良く勝利に結び付け勢いをつけたい。

秋16強の与勝のエース富名腰泰雅を、未来沖縄打線がどう攻略し打ち崩すか注目したい。攻撃に自信を持つ南風原に、那覇西の赤嶺由生郎は粘りの投球を心掛けたいところだ。

このブロックはシード興南高校が頭一つ抜けていると思われるが、力のあるチームが揃うブロックだけに各校初戦の勝ち方次第では面白い展開になるかもしれない(平良)。

Ⅾブロックの展望

秋17年ぶりの4強進出を果たした那覇商ブロック。練習スペースが限られている中、工夫を凝らした練習やチーム一丸となった戦いで復活を果たした。準決勝は王者八重山を追い詰めるも手痛いミスで試合を落とし、「一球の怖さ」を知った。

そんなシードへの挑戦権を懸け戦うのは秋季部員11名で16強入りした北部農林と、同じく秋季の初戦で、延長15回の激闘の末惜しくも敗れた向陽。北農の軟投派左腕岸本翔平を、向陽打線が早めに攻略出来るか.。

沖縄尚学と石川の組み合わせは今大会屈指の好カード。秋季は共にコールド敗退と、悔しい結果だっただけに今春に対する意気込みは並大抵ではない。

仲西莉音や砂川リチャードなど、長距離砲が中軸に座り力がある沖尚打線がプロ注目の右腕、タイシンガー・ブランドン大河をどう攻略するか。

秋季8強の中部商は浦添との対戦。身体能力の高い選手が揃い試合巧者の中部商は、得意の機動力を生かした野球でリズム良く勝利し勢いをつけたい。対する浦添は、ミスをなくし先に攻め相手の焦りを誘いたい。

秋季16強の宜野湾と対戦する首里は、秋季初戦4点リードからの手痛い逆転負けを経験。宜野湾も、王者八重山に終盤崩れての敗戦だっただけに、1点の重さを知るチーム同士の試合は競り合い必至だろう。

本部と球陽も面白い対戦だ。新人中央大会に出場し、期待された本部高校だったが秋初戦敗退。球陽高校は、中部商業高校との戦いで敗れるも、終盤の追い上げを見せるなど両校に力の差はないとみる。いかに自分達のペースで戦えるかが鍵だ(平良)。

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