野球選手の肩関節障害に対する診断と治療・コンディショニング
野球選手の肩の障害予防やコンディショニング方法を学ぼう!
2016-01-15
稲嶺 :野球肩といっても一つの病気ではなく、関節唇損傷、腱板断裂、インピンジメント症候群、胸郭出口症候群など、いろいろな診断名があり、それらをあわせて野球で痛めた肩を野球肩と言います。
その原因として、普段のコンディショニング不足というのが多く、それプラス投球フォームや球数とか関わってきて障害が発生します。
外間 :うちの病院では野球選手のメディカルチェックを行っているのですが、その中でも肩の障害を持った選手が結構いることから、肩の障害の予防や、肩を痛めた後のケアの仕方、コンディショニングなどを専門の先生から学んでもらいたいと講演会を開催することとなりました。
今回、講師としてお招きするのは、福岡の久恒病院という肩専門の病院の院長の原先生と理学療法士の緒方先生。原先生は、ソフトバンクホークスの肩担当のチームドクターを務めています。
緒方先生は原先生が診察した選手たちのリハビリを担当しており、コンディショニングや肩の治療を行っています。チームのエース級の選手の担当をするなど選手からの信頼もあります。
久恒病院には、ソフトバンクに限らず阪神や楽天、西武、日ハムなどの選手が肩のコンディショニングや治療、手術を受けに訪れています。
稲嶺 :原先生は、日本のトップで肩の治療している先生たちの中の一人で、プロ野球のチームドクターの一人でもあります。かなりトップレベルの話が聞けると思います。
昔は、肩にメスを入れたら二度と復帰できないという時代だったのですが、今は場所によっては結構復帰できる確率は比較的上がってきています。
十数年前と比べたらリハビリや医学の分野では結構進歩しますが、指導者とか現場の人たちまでには届いていない部分かもあるので、そういう話もしっかり聞いてほしいですね。
外間 :原先生は、野球肩の選手の全身的な評価の方法、診断方法として、簡便に検査できる11項目の原テストというのを考案しました。
稲嶺 :野球肩の場合、肩だけを診るのではなくて、全身の運動として下半身の動きや体幹、肩回りの筋力など総合的に診ます。
原テストは、その人の野球人としての体づくりというのを点数化することにより、誰でも簡単に評価ができるとシステムです。
全国的に今、原テストを使って評価することが広がっていて、点数が低い人たちは、パフォーマンスが悪いとかケガしやすいとか、そういうデータが少しずつ出てきています。
また、点数をつけた部位別にコンディショニングやトレーニングを行うことによって、その人の野球人としてのパフォーマンスが上がってきたり、障害発生率を低くする予防的な効果も出てきます。
外間 :下半身はどれくらい動けばいい、肩の動く角度はどの程度曲がればいいなど、そういった指標の話も出ると思います。
稲嶺 :野球している人で肩を故障して結構あきらめている人がいると思うんですよ。中高年の方とかも。
でも、ちゃんとコンディショニングとリハビリとかしっかりすることによって8割から9割くらいの人は、元のレベルくらいまで復帰することができます。体全体としてケアをして、治療をしていくことが大事ですね。
外間 :緒方先生は肩のコンディショニングについて話をしてもらえる予定です。治療法とともに肩を痛める前にどういったトレーニングが必要か、特にインナーマッスルの鍛え方やストレッチの方法など、学生や指導者の人は、聞いてためになると思います。
学生の場合、肩やヒジを痛めて3ケ月とか半年、1年投げられない期間があると、それで学生時代を終えてしまうこともあります。選手、指導者にトレーニングやストレッチの方法、ケガをする原因などを学んでもらって、チームでやってもらいたいっていうのがあります。
稲嶺 :肩はつくりがすごい複雑な構造をしていて、ボールを投げるのも下半身や体幹の影響を受けやすい。下の動きが悪かったら肩に負担がかかる。逆に下半身や体幹を整えてあげると肩の負担が減って、しっかりボールが投げられるようになります。
外間 :運動連鎖っていうんですが、下半身が動かないと力が上半身につながっていかない。
外間 :昔から野球は下半身だと言って、走ったり、スクワットや階段上ったりしていたと思いますが、今回の講演会では、下半身をどういう風に評価してケガの予防とかパフォーマンスの向上につなげていくかなど、それよりも進んだ話をしてくれると思います