第65回沖縄県高校野球秋季大会の展望

第65回沖縄県高校野球秋季大会の展望

2015-09-15

いよいよ9月12日より第65回沖縄県高校野球秋季大会がスタートする。新人中央大会で4強入りした八重山(第1シード)、興南(第2シード)、浦添商業(第3シード)、宜野座(第4シード)がシードされ、南部商と南部農林の合同チームを含む61チームが参加して行なわれる。

辺土名と伊良部は部員不足のため欠場となった。優勝校と準優勝校の2校は、来年春の選抜大会出場の参考資料となる九州地区大会(10月24日開幕・鹿児島県)へに出場する。

Aブロック

高校野球オールドファンなら絶対に駆けつけたいカードが実現した。昨年の新人中央大会(以下新人)4位の那覇と、今年春季県大会(以下春季)4位の豊見城だ。上位進出を果たした先輩たちの姿を見ていた後輩たちも、「自分たちも!」と燃えないわけがない。豊見城は前チームから経験豊富な翁長宏和、宮海翔の投手陣や、中軸を担った平田怜之輔ら二年生が中心となる。

一方の那覇は三年生が主軸だったのもあり世代交代がどれだけ進んでいるのかにもよる。夏の選手権沖縄大会(以下選手権)の南風原戦で僅か1イニングの登板ながら、打者3人から2つの三振を奪った川畑勇斗や池村祐人の経験者二人がナインを引っ張りたい。

その勝者を待ち受ける第一シードの八重山は、新人4試合の打率が2割9分7厘と3割には若干届かなかったものの、得点力が平均6.2と非常に高い数値を残した。新里光平と黒島投真に続くエース候補として名を挙げたのが仲山琉斗。

小禄戦の5回と西原戦の7回、そして宜野座戦の9回を投げ抜き自責点ゼロの一発回答(快投)に、仲里監督も嬉しい悲鳴を上げた。打線も切込み隊長の川満拓也から、力強い中軸に勝負強い下位へと繋がっていく。

(この本が出ている頃にはこのブロックの、その他の試合は終わっているのだが)選手権での、美里工との壮絶な打ち合いをした安里昇之助や崎村駿、金城龍樹らが残る宜野湾や、僅差の勝負に強い知念、同じく選手権14イニング無失点の好投でチームをベスト16に導いた赤嶺由生郎の那覇西も注目だ。

中央大会で惜敗した宜野座戦において、投げては3イニング無失点、打っては3安打2打点をマークした森田滉央とトップバッターを務める上里航平らを擁する前回王者の中部商に挑む球陽も、一年生から場数を踏む我如古莉也らが力を出せば、番狂わせは大いに可能。北中城とコザの一戦は、どちらが勝ってもおかしくない。

野球大好き編集部では本命が八重山、対抗一番手が中部商と読む。

Bブロック

こちらの日程も全て終わっているのだが、ご容赦願いたい。

新人4位の宜野座にとって、内間拓馬の成長が一番の収穫だった。豊見城南戦で途中登板のロングリリーフをこなし、三位決定戦の浦添商戦では延長11回、203球を投げ切った。

エース格の玉城楓との二本柱と鍛え抜かれた守りを中心とした野球は、他校にとって難攻不落の城に映るだろう。

その宜野座に挑戦する古豪沖縄工業は、選手権でも出場し3年生をリードしてきたキャッチャーの金城翔真が残っているのは心強い。新しい投手陣を上手くリードして少ないチャンスをものにしたいところだ。

このブロックには、宜野座と同じく中央大会出場校が3校も組まれた。

小禄は前チームから中軸を担う上原優作と、新エースとなった前武當一斗の出来がカギか。対する本部は、新人北部地区で名護や北山を倒し中央大会へ出場。新人の西原戦で3安打をマークした宮里優志や、5回をゼロに抑えた金城叶の一年生らの力が一気に開花した感を漂わす。

その本部を下して8強入りした西原は、本部戦で1失点完投した新垣紫苑と、選手権で9回を投げ自責点2と結果を残した川満樹生の二本柱が強み。勝負強いバッティングの前野政太の前に出来るだけ走者をためたいところだ。

選手権で八重山に敗れたものの、その試合で3安打をマークした竹中伸二や、1番を務めた佐川舜らが残る浦添や、選手権でも沖縄尚学を苦しめた那覇商も上位候補。その中で一番のダークホースが真和志だろう。

3年生が二人だけという中で戦った選手権では、宜野座を相手に0対2。先発して7回2自責点の前原信王や、2安打を放った仲本政弥らに加え、無失策の野手陣などチーム力は高い。

かつて選手権で北谷高校を8強へと導き、前任の陽明も同校過去最高位となる8強(春季)へと進めた津留監督の手腕にも注目が集まる。

野球大好き編集部では、本命が宜野座、対抗馬が小禄、西原、真和志と読む。

Cブロック

夏の甲子園ベスト8に貢献したエース比屋根雅也は、春夏の県大会での防御率が1点台を切っており、独特のクロスステップから放る対角線のある球を攻略するのは極めて至難の技と言えよう。

野手組の具志堅大輝、高那峻を合わせた甲子園組と我喜屋監督ら指揮官を欠く中での、新人準優勝という成績も見事だった。

その新人全3試合に登板した崎原大輔と上原麗男が、貴重な経験を積んだのも大きい。

決勝の八重山戦で3安打、準決勝の浦添商戦でホームランを含む5打点と暴れたキャッチャーの宮里大湖ら打撃陣も力強さがあり、疲れが残っているだろう比屋根を休ませられるような試合運びが可能になってくると、どこも太刀打ち出来ない強さを見せてくるだろう。

平安常輝と大城翔太郎が牽引する糸満と、平良竜哉、山根蓮太の左右投手を擁する前原との戦いは好カード。この一戦を制して波に乗り、打倒興南までコマを進めたい。

新人15年振りの8強入りを果たした豊見城南は、宜野座戦で2ランホームランを放った平安郁太と、嘉手納戦で先発し2失点完投した金城勝士の投打の柱がしっかりしている。加えて他打者の好球必打も目立つなど、かなりの期待感が持てるチームだ。

南部工は3年生が一人だけだったこともあり、全員が経験豊富。それが高校工業野球大会(以下工業大会)でも3位という成績に繋がった。

もう一つの注目校は未来沖縄(KBC学園)だろう。

初めての大会となった選手権では、高校野球の厳しさを味わったが、それを選手たちが糧とするようしっかりと調整してくるのが名将神山監督。まだ失うものは無い一年生軍団の躍動に期待したい。

野球大好き編集部の予想は本命興南、対抗馬が糸満もしくは前原の勝者と読む。

Dブロック

今大会一番の激戦区となったのがDブロック。中でももったいないと思うほどの好カードが美里工と八重山商工の試合に、沖縄尚学と美来工科だ。 闘将伊志嶺監督と知将神谷監督。

実は秋季大会で顔を合わすのはこれで3年連続。13年秋、14年秋と美里工が連勝中だが、新人大会でライバルである八重山が優勝したことで、八重山商工ナインに火がつき工業大会で優勝。黒島志門、森田虎之介の投手陣を前チームからキャッチャーを務める前栗蔵知弘がリードしていく。

対する美里工は新人2試合で12安打をマークした大田浩二、伊佐翼、屋我翔也のクリーンアップを中心とした強力打線を形成しており、投の八重山商工、打の美里工という見応えある戦いが期待される。

昨年の工業大会でも登板した、仲宗根登夢と吉田遼が着実に成長の跡を見せるのが美来工科。加えて180Cm80Kgの巨漢田崎憲吾が4番に座る打線も実りつつある。

中でも一番の注目選手が、チーム一のヒットメーカーであり1番を務める武内由伸だ。その美来工科の挑戦を受ける沖縄尚学は、選手権で興南打線を7回2自責点に抑えたエース諸見里俊が柱となる。ここにもう一枚、右の柱が成長するとさらに盤石となる。

打線では仲西莉音、知念大河、砂川リチャード、大兼久亮平の4人が強力。仲西が1番に入り、残りを中軸に据えるのか、新人のときのように4人をズラっと並べるのか。どちらにしても相手にとっては気の抜けない、県内随一のビックバン打線だ。

ここに新人で美里工と延長14回を戦ったタイシンガー・ブランドン大河率いる石川に、沖縄尚学を破った宮古、試合巧者の古豪首里、そして昨年から活躍する仲地玖礼、大石哲汰、大城堅斗、仲井真光亮ら好選手が揃う嘉手納が入ったのだから、正直どこが勝ち上がってきてもなんら不思議ではないブロックとなっている。

さらにさらに。そこにシードとして浦添商が君臨するのだ。新人3位ではあるが、中央大会のチーム打率は3割4分7厘と非常に高く、トップの古堅宗磨から志喜屋勇斗、宮城健、砂川翔弥と切れ目の無い打線は魅力たっぷり。

宜野座戦で終盤をキッチリと抑えた右の大嵩博斗に、宮古戦で11奪三振をマークした左の嘉陽伊緒と、整備されつつある投手陣を、前チームから要として座る金城慶也が引っ張る守りも秀逸だ。

野球大好き編集部では唯一、先が読めないブロックとしておく(ホントに読めません)。どうかご容赦を。

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